sublingual-immunotherapy 舌下免疫療法

対象となるアレルゲンと治療の考え方

根本的な改善をめざす治療

アレルギー性鼻炎や花粉症の多くは、次のような物質を体が「異物」と誤って認識してしまうことによって起こります。

  • 虫やダニなどの死骸が風化し、空気中に舞い上がったもの(主にダニアレルゲン)
  • 植物から飛散する花粉(スギをはじめとした季節性アレルゲン)

これらのアレルゲンを吸い続けることで、体内では抗体がつくられ、それが蓄積されていきます。ある一定量を超えると、くしゃみ・鼻づまり・鼻水・目のかゆみなど、いわゆるアレルギー症状が現れるようになります。

舌下免疫療法とは?

舌下免疫療法は、スギ花粉やダニ(ハウスダスト)に特化した治療法です。
アレルギーの原因となるエキス(アレルゲン)を少量ずつ舌の裏に投与し、体を徐々に慣らしていくことで、免疫反応を穏やかにしていく治療法です。

治療期間
最低3年以上が必要です
効果
症状を軽減し、継続することで体質改善が期待されます
特徴
生涯にわたり効果が持続する可能性がある、数少ない根本治療のひとつ

ただし、すべての方に同じような効果が現れるわけではなく、体質によっては効果が出にくい場合や、治療中にアナフィラキシー症状が出る可能性もあります。
そのため、治療を開始する際には十分なご説明とご理解のうえで進めてまいります。

こんな方に適しています

  • 毎年スギ花粉の時期に強い症状が出る方
  • 鼻炎薬を長期間使用しているが、十分な効果を感じにくい方
  • 眠気など薬の副作用が気になる方
  • 将来的にアレルギー症状を抑えたい方

治療の流れ

舌下免疫療法は、継続的な通院と日々のセルフケアが必要な治療法です。
当院では、下記のようなステップで治療を進めていきます。

STEP1|初回診察・アレルギー検査

まずは医師による診察を行い、治療の仕組みや注意点についてご説明します。
そのうえで、必要に応じて血液検査などのアレルギー検査を実施し、アレルゲンの特定を行います。

※当日は舌下免疫療法を受けるかどうかを含めてご相談可能です。

STEP2|再診・検査結果のご説明・治療開始

検査結果をご説明し、治療を希望される場合は、舌下免疫療法の初回投与を院内で行います。
※初回投与は医師の管理下で行う必要があるため、診察時間の制限がある日程となります。ご予約時にご案内いたします。

STEP3|投与1週間後の経過確認

初回投与から約1週間後に再度ご来院いただき、体調や副反応の有無などを医師が確認します。
問題がなければ、自宅での継続投与が可能となります。

STEP4|継続治療(4回目以降)

その後は、医師の判断により来院頻度を調整していきます。
通常は、投与開始から1ヶ月以降は月1回の通院が目安となり、治療を継続します。

治療期間は3〜5年程度が推奨されており、効果を高めるためにも根気よく続けていただくことが大切です。

舌下免疫療法の注意点

  • 即効性はありません(効果を感じ始めるまでに半年〜1年程度かかることがあります)
  • 毎日継続して服用する必要があります
  • 症状が強い時期には、必要に応じて内服薬やレーザー治療を併用する場合があります

副作用について

  • 口の中のかゆみ・腫れ、喉の違和感などが見られることがあります
  • ごくまれにアナフィラキシーなど重篤な副反応が起こることがあります
  • 初回は必ず医師の管理下で投与を行います

治療が受けられない場合

以下に該当する方は、治療の実施が難しい場合があります。

  • 重度の気管支喘息がある方
  • 妊娠中または妊娠の可能性がある方
  • 免疫疾患など、医師が不適当と判断した場合

レーザー治療との併用も可能です

当院では、症状の強い時期にレーザー治療を併用し、舌下免疫療法の効果を待つ間の症状緩和を図るハイブリッド治療も行っています。
「つらい症状を今すぐ抑えつつ、体質改善もしたい」という方に適した方法です。
ご希望の方は診察時にご相談ください。

よくあるご質問(Q&A)

  • いつから治療を始めるのがよいですか?

    花粉症の方は、花粉が飛散していない時期(6〜12月)に始めるのが望ましいです。

  • 効果はどれくらいで現れますか?

    個人差はありますが、半年〜1年程度で改善を感じる方が多い傾向にあります。

  • 子どもも治療できますか?

    小学生以上であれば適応可能な場合があります。医師とご相談ください。