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鼻炎の種類と見分け方|アレルギー性・血管運動性など症状別に解説

2026.03.07


1.鼻炎の主な種類と分類
2.アレルギー性鼻炎の特徴と見分け方
3.血管運動性鼻炎の特徴と見分け方
4.その他の鼻炎タイプの特徴
5.正確な診断のための検査方法
6.鼻炎タイプ別の治療アプローチ
7.日常生活でできる鼻炎対策
8.よくある質問(FAQ)
9.まとめ
鼻水が止まらない、鼻が詰まって息苦しい。そんな症状に悩まされている方は少なくありません。

実は「鼻炎」と一口に言っても、その種類は複数あり、原因も治療法も大きく異なります。アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、薬剤性鼻炎、妊娠性鼻炎…。自分の鼻炎がどのタイプなのかを正しく理解することが、効果的な治療への第一歩です。

28,000件以上の症例経験を持つ耳鼻咽喉科専門医として、これまで数多くの患者さんの鼻炎治療に携わってきました。その経験から言えるのは、「正確な診断なくして適切な治療なし」ということです。

本記事では、各鼻炎の特徴と見分け方、そして最適な治療法について詳しく解説していきます。

鼻炎の主な種類と分類

鼻炎は大きく分けて「急性鼻炎」と「慢性鼻炎」に分類されます。急性鼻炎はいわゆる「鼻かぜ」で、ウイルス感染が主な原因です。一方、慢性鼻炎は3ヵ月以上症状が続く状態を指します。

慢性鼻炎の中でも、特に重要なのが以下のタイプです。

アレルギー性鼻炎

花粉やハウスダスト、ダニなどのアレルゲンに対する免疫反応によって起こる鼻炎です。日本人の約40%が悩んでいるとされ、最も一般的なタイプと言えます。

通年性と季節性の2つに分けられます。通年性はダニやハウスダストが原因で一年中症状が出るもの。季節性は花粉が原因で、特定の時期に症状が現れます。スギ花粉症が代表的ですね。

血管運動性鼻炎

アレルギー検査では陽性反応が出ないのに、鼻炎症状が現れるタイプです。「寒暖差アレルギー」とも呼ばれることがあります。

温度変化や湿度の急変、精神的ストレス、タバコの煙などが引き金となって発症します。自律神経の乱れが関与していると考えられています。

肥厚性鼻炎

鼻粘膜の炎症が長期間続くことで、粘膜が硬く厚くなった状態です。急性鼻炎や単純性鼻炎が長引くことで起こりやすくなります。

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が原因となることが多く、両方の鼻が詰まるのが特徴です。薬で症状が治まらない場合は、手術療法も検討されます。

薬剤性鼻炎

血管収縮剤入りの点鼻薬を常用することで起こる鼻炎です。最初は効果があっても、使い続けるうちに鼻粘膜が肥厚し、かえって頑固な鼻詰まりを引き起こします。

「点鼻薬が手放せない」という状態になっている方は要注意です。

妊娠性鼻炎

妊娠中、特に妊娠後期に血液量が増加することで鼻粘膜が腫れ、鼻詰まりが起こります。出産後には急速に回復するのが特徴です。

妊娠中は内服薬の使用を控える必要があるため、点鼻薬や処置による治療が中心となります。

アレルギー性鼻炎の特徴と見分け方

アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの「三大症状」が特徴です。特に、くしゃみが連続して7~8回以上出る、透明でサラサラした鼻水が止まらない、といった症状があればアレルギー性鼻炎の可能性が高いです。

かぜとの違い

鼻かぜとアレルギー性鼻炎は症状が似ているため、見分けが難しいことがあります。しかし、いくつかの違いがあります。

まず、発熱の有無です。アレルギー性鼻炎では高熱が出ることはほぼなく、微熱程度にとどまります。一方、かぜでは38℃以上の高熱が出ることも珍しくありません。

次に、鼻水の状態です。アレルギー性鼻炎の鼻水は無色でサラサラしていますが、かぜの場合は数日後に黄色くドロッとした鼻水に変わります。

目の症状も重要な判断材料です。アレルギー性鼻炎では目のかゆみや充血を伴うことが多いですが、かぜではこうした症状はほとんど見られません。

通年性と季節性の見分け方

一年中症状が出るのが通年性、特定の時期だけ症状が出るのが季節性です。

通年性の原因はダニやハウスダストが多く、室内にいると症状が悪化しやすい傾向があります。こまめな掃除や空気清浄機の使用が効果的です。

季節性は花粉が原因で、スギ花粉は1~5月、ヒノキ花粉は2~6月、イネ科は5~6月、ブタクサやヨモギは8~10月頃に飛散します。外出時や花粉の飛散が多い朝夕に症状が強く出る場合は、季節性を疑います。

血管運動性鼻炎の特徴と見分け方

血管運動性鼻炎は、アレルギー検査で陽性反応が出ないのに鼻炎症状が現れる、という特徴があります。「非アレルギー性鼻炎」とも呼ばれます。

症状自体はアレルギー性鼻炎と似ていて、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりが主です。ただし、目のかゆみはほとんどないか、あっても軽度です。

発症のきっかけ

寒暖差が最も一般的な引き金です。冷たい外気に触れた直後や、空調の効いた室内と屋外を出入りした時にサラサラの鼻水が止まらなくなります。

一般的に、1日の気温差が7℃以上になると症状が出やすいとされています。そのため、季節の変わり目の春や秋は特に注意が必要です。

その他、精神的ストレス、タバコの煙、飲酒、香水などの強いにおい、辛い食べ物なども誘発要因となります。

アレルギー性鼻炎との違い

最も重要な違いは、アレルギー検査の結果です。血管運動性鼻炎では、血液検査や鼻汁好酸球検査で陽性反応が出ません。

また、症状の出方にも違いがあります。アレルギー性鼻炎は特定のアレルゲンに曝露されると症状が出ますが、血管運動性鼻炎は温度変化などの物理的刺激で一時的に症状が出ます。

治療薬の効果にも差があります。アレルギー性鼻炎に使われる抗ヒスタミン薬は、血管運動性鼻炎には効果が限定的です。効くかどうかは個人差もありますが、全体的に効果は乏しいとされています。

自律神経との関係

血管運動性鼻炎の背景には、自律神経のバランスの乱れがあると考えられています。

交感神経が優位になると鼻内の血管が収縮し鼻が通りますが、副交感神経が優位になると血管が拡張し鼻が詰まります。急激な温度変化は自律神経のバランスを乱し、特に副交感神経が過剰に働くことで鼻の血管が拡張し、鼻水などの症状を引き起こします。

高齢者、筋肉量の少ない人、30~60代の成人女性に多いという報告があります。

その他の鼻炎タイプの特徴

肥厚性鼻炎の見分け方

鼻詰まりが主な症状で、両方の鼻が詰まるのが特徴です。単純性鼻炎では片方もしくは左右交互に鼻詰まりが起こりますが、肥厚性鼻炎では両方同時に詰まります。

原因はアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が長引いたケースが多く、薬物療法で改善しない場合は手術が検討されます。粘膜を減量する鼻腔粘膜焼灼術や、粘膜下下鼻甲介骨切除術などが行われます。

薬剤性鼻炎の見分け方

「点鼻薬を使わないと鼻が通らない」「点鼻薬の効果が以前より短くなった」という状態が続いている場合、薬剤性鼻炎の可能性があります。

血管収縮剤入りの点鼻薬は速効性があり、鼻詰まりには目覚ましい効果があります。しかし、常用するとリバウンドで逆に鼻粘膜が肥厚し、頑固な鼻詰まりを起こしてしまいます。

治療は点鼻薬の使用を止めることですが、鼻粘膜の肥厚が高度な場合は手術が必要となることもあります。

妊娠性鼻炎の見分け方

妊娠中、特に妊娠後期に鼻詰まりが強くなった場合は妊娠性鼻炎が疑われます。

妊娠中は身体を巡る血液量が増えますが、特に妊娠後期になるとその量はかなり増加します。鼻の粘膜は多くの部分が毛細血管でできているため、血液量増加によって毛細血管が拡がり、鼻粘膜が腫れるようになります。

花粉症を伴っている場合、腫れは深刻になりつらい症状を引き起こします。妊娠中ですのでできるだけ内服薬を使用しない治療を行う必要があり、点鼻薬や処置による治療が中心になります。出産後には血液量が通常に戻るので、急速に回復します。

正確な診断のための検査方法

鼻炎の種類を正確に見分けるには、専門医による診察と検査が不可欠です。当院では以下のような検査を行っています。

視診と鼻鏡検査

まず、鼻の中を直接観察します。鼻粘膜の色や腫れ具合、鼻汁の状態などから、ある程度の判断が可能です。

アレルギー性鼻炎では粘膜が蒼白く腫れていることが多く、副鼻腔炎では粘膜が赤く腫れていることが多いです。

鼻汁好酸球検査

鼻水に含まれる好酸球の数を顕微鏡で観察し、アレルギー性鼻炎の可能性を調べます。検査で陽性ならアレルギー性鼻炎を疑い、陰性なら血管運動性鼻炎を含むその他の鼻炎を疑うことになります。

ただし、この検査では具体的なアレルギーの種類までは判定できません。

アレルギー検査

血液検査により、花粉やダニ、ハウスダストなどの具体的なアレルゲンを特定します。血管運動性鼻炎ではアレルゲンを特定できないことが多いです。

当院では主にドロップスクリーン検査を採用しています。指先に小さな傷をつけて少量の血液を採取し、41種類のアレルゲンを調べることができる検査です。痛みがほぼなく、当日結果が出るため1回の受診で検査と診断がつく点がメリットです。

画像検査

必要に応じてレントゲン検査やCT検査を行います。副鼻腔炎の有無や鼻中隔弯曲症の程度などを確認するためです。

鼻茸がある場合や、腫瘍が疑われる場合にも画像検査は有用です。

ファイバースコープ検査

鼻腔の奥や鼻咽腔の状態を詳しく観察するために、ファイバースコープや電子スコープを使用することがあります。

アデノイドの大きさや、鼻咽腔の腫瘍の有無などを確認できます。

鼻炎タイプ別の治療アプローチ

アレルギー性鼻炎の治療

治療の基本は薬物療法です。抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、ステロイド点鼻薬などを症状に応じて使い分けます。

近年、鼻詰まりに効果的な抗ロイコトリエン薬や抗トロンボキサンA2薬が開発されており、数週間以上指示通りに飲むことで鼻詰まりがかなり改善するケースが増えています。

ステロイド点鼻薬は副作用の心配がほとんどないとされており、安心して使用できます。常用することで鼻詰まりが悪化してしまうのは、血管収縮剤の点鼻液です。

薬物療法で効果が見られない場合や、再発を繰り返す場合には手術を検討します。鼻腔粘膜焼灼術、後鼻神経凍結手術、粘膜下下鼻甲介骨切除術などが可能です。

また、スギ花粉症に対する舌下免疫療法も選択肢の一つです。3~4年にわたる長期間の継続治療が必要ですが、アレルギー自体を治すことができる可能性があります。

血管運動性鼻炎の治療

原因を特定できないため、現れた症状を抑えるための対症療法が主な治療です。

症状はアレルギー性鼻炎と似ているため、抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬を用います。ただし、効果はアレルギー性鼻炎より乏しいことが多いです。

自律神経を整えることが重要です。十分な睡眠、バランスの良い食事、アルコールを飲み過ぎない、たばこを吸わない、適度に運動をするなどの生活習慣の改善が効果的です。

寒暖差を少なくする工夫も大切です。マスクの着用、首・手首・足首を温める、入浴でしっかり体を温めるなどの対策が有効です。

肥厚性鼻炎の治療

原因がアレルギー性鼻炎の場合は抗ロイコトリエン薬や抗トロンボキサンA2薬、ステロイド点鼻液、ネブライザー治療を行います。

副鼻腔炎が原因の場合は抗炎症剤の内服、ステロイド点鼻液、ネブライザー治療を行います。

薬や処置で効果が見られない場合には、鼻内副鼻腔手術と必要に応じて鼻粘膜焼灼や粘膜下鼻甲介骨切除を実施します。

薬剤性鼻炎の治療

治療は点鼻液の使用を止めることです。ただし、鼻粘膜の肥厚が高度な場合は、肥厚性鼻炎の手術を検討する必要があります。

点鼻薬をやめるのは辛いかもしれませんが、使い続ける限り症状は悪化していきます。医師の指導のもと、計画的に中止することが重要です。

妊娠性鼻炎の治療

妊娠中ですのでできるだけ内服薬を使用しない治療を行います。点鼻薬や処置による治療が中心になるので、効果はあまり期待できません。

しかし、出産後には血液量が通常に戻るので、急速に回復します。妊娠中は症状を和らげることに重点を置き、出産後の回復を待つという姿勢が現実的です。

日常生活でできる鼻炎対策

環境を整える

こまめに換気する、掃除機をまめにかけるなど、清潔を保つことは大切です。空気清浄機や加湿器を利用するのも効果的です。

アレルギー性鼻炎の場合は、原因物質を物理的に避けることが重要ですので、マスクの使用や原因物質の多い場所に行かないなどの対策も有効です。

生活習慣の改善

ストレスは免疫機能のバランスが崩れやすくなるため、睡眠不足や疲労などストレスの原因となりやすいことは避けましょう。喫煙や飲みすぎもよくありません。

運動は血行促進やストレス緩和効果があり、鼻炎症状改善のために習慣化したいことの1つです。

食生活の工夫

脂質や糖分の摂りすぎを避けバランスの取れた食事を意識しましょう。野菜や果物、海藻、きのこなどに多い食物繊維は、免疫と密接に関係のある腸内環境改善に役立ちます。

水分をしっかりと摂取することも大切です。

初期療法の重要性

毎年強い症状が出ている患者さんは、症状が出始める前に治療を開始すること(初期療法)で、症状を軽くして重症化を防ぐことができるとされています。

花粉症の場合、花粉が飛散する2週間前から治療を始めるのが理想的です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 鼻炎は自然に治りますか?

急性鼻炎(鼻かぜ)は1~2週間で自然に治ることが多いです。しかし、アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎は自然に治ることはほとんどなく、何らかの治療が必要になります。放置すると副鼻腔炎や中耳炎などの合併症を引き起こすこともあるため、早めの受診をおすすめします。

Q2. 市販薬と処方薬の違いは何ですか?

市販薬でも同じ成分が含まれている物がありますが、一般的に医師が処方する薬よりも濃度が低いことが多いです。症状が強い場合は受診することをおすすめします。また、市販薬には複数の成分が配合されていることが多く、不要な成分による副作用のリスクもあります。

Q3. 鼻炎の検査は痛いですか?

鼻鏡検査や視診は痛みはありません。アレルギー検査も、当院で採用しているドロップスクリーン検査は指先に小さな傷をつけるだけで、痛みはほぼありません。ファイバースコープ検査も、局所麻酔を使用するため痛みは最小限に抑えられます。

Q4. 子どもの鼻炎は大人と違いますか?

子どもの場合、アデノイドが原因で鼻詰まりが起こることがあります。アデノイドは2~3歳から大きくなり5~6歳でピークを迎え、その後縮小していきますが個人差が大きいです。縮小を待てないほど鼻詰まりが深刻な場合や、睡眠時無呼吸症候群の原因と考えられる場合には手術を検討します。

Q5. 鼻炎の手術は入院が必要ですか?

鼻腔粘膜焼灼術や後鼻神経凍結手術などは日帰りで行えることが多いです。ただし、副鼻腔炎の手術や粘膜下下鼻甲介骨切除術などは、症例によって入院が必要となる場合もあります。手術の種類や範囲によって異なりますので、医師とよく相談することが大切です。

まとめ

鼻炎には複数の種類があり、それぞれ原因と治療法が異なります。アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、肥厚性鼻炎、薬剤性鼻炎、妊娠性鼻炎…。自分の鼻炎タイプを正しく理解することが、効果的な治療の第一歩です。

症状だけでは判断が難しいケースも多く、正確な診断には専門医による検査が不可欠です。鼻汁好酸球検査やアレルギー検査、画像検査などを組み合わせることで、原因を特定できます。

治療は薬物療法が基本ですが、効果が見られない場合や再発を繰り返す場合には手術も検討されます。また、環境整備や生活習慣の改善など、日常生活でできる対策も重要です。

28,000件以上の症例経験から言えるのは、「早期診断・早期治療」の重要性です。症状が軽いうちに適切な治療を始めることで、重症化を防ぎ、生活の質を大きく改善できます。

鼻炎でお悩みの方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。詳しい診断と治療法については、鼻詰まりのページもご参照ください。

 

コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。 いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
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医師紹介

都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。

  • 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
  • 日本めまい平衡医学会 参与
  • 日本臨床医療レーザー協会 会員
  • 帝京大学医学部 元准教授

いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。

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