column コラム
いびきの防止策
2025.08.25
いびきの予防|生活習慣の見直しでできるセルフケア
いびきは、単なる“音”の問題にとどまらず、睡眠の質を下げたり、日中の疲労感・集中力の低下など、さまざまな影響を及ぼすことがあります。
その多くは、生活習慣や寝る姿勢といった日常の行動が関係しています。
ここでは、いびきを軽減・予防するためのセルフケア方法と、医療機関での治療選択肢をご紹介します。
睡眠時の姿勢を見直す
寝る姿勢は、いびきの大きな要因のひとつです。
特に仰向け寝は、舌や軟口蓋(なんこうがい)が重力で喉の奥に落ち込みやすく、気道を狭くしてしまいます。
おすすめは「横向き寝」です。
気道がふさがれにくく、呼吸がスムーズに行えるため、いびきが軽減しやすくなります。
抱き枕やクッションを活用すると、横向き姿勢を保ちやすくなります。
寝酒は控えるのが正解
「寝つきがよくなるから」と、就寝前にお酒を飲む方も多いですが、これはいびきを悪化させる原因に。
アルコールには筋肉を緩める作用があるため、喉の筋肉がゆるみ、気道が狭くなっていびきが出やすくなります。
特に寝る直前の飲酒は避け、飲む場合も早めの時間にとどめましょう。
喫煙は粘膜の炎症と気道狭窄を招く
たばこに含まれる有害物質は、のどの粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、気道を狭くする原因になります。
いびきを予防したい場合は、禁煙がもっとも効果的な対策のひとつです。
どうしても難しい場合は、せめて寝る前の喫煙を控えることをおすすめします。
体重コントロールも重要
首まわりやのどの脂肪が増えると、気道が圧迫されやすくなります。
特に肥満体型の方は、いびきや睡眠時無呼吸のリスクが高まるため、適正体重の維持が重要です。
バランスのとれた食事と、ウォーキングなどの軽い運動を日常に取り入れましょう。
睡眠リズムを整える
睡眠不足は、身体だけでなく筋肉の緊張バランスも乱れ、いびきの一因となります。
毎日同じ時間に寝起きするなど、生活リズムを整えることで、自律神経や筋肉の働きが安定します。
鼻呼吸を意識して、口呼吸を改善
いびきをかく方の多くに見られるのが「口呼吸」の習慣です。
口を開けたまま眠ることで、舌が重力で喉の奥へと落ち込みやすくなり、気道が物理的に狭くなります。これがいびきを引き起こす主な要因のひとつです。
このため、口呼吸から鼻呼吸に切り替えることがいびき予防には非常に重要です。
鼻呼吸を助ける方法
マウスピースの装着
下顎が前に出るように誘導し、舌の落ち込みを防いで気道を確保。
同時に口を閉じる状態が維持され、自然と鼻呼吸へと促されます。
医療用プラスチックによる鼻腔拡張
鼻づまりがある場合には、鼻腔を物理的に広げる器具を使用し、鼻呼吸をしやすくする方法もあります。
こんな症状がある場合は医療機関へ
生活習慣の見直しだけでは改善が難しいケースでは、**睡眠時無呼吸症候群(SAS)**など、病気が隠れている可能性もあります。
以下のような症状がある場合は、専門の医療機関での検査をおすすめします。
- 起床時の頭痛やだるさがある
- 日中に強い眠気や集中力の低下を感じる
- 家族に「呼吸が止まっていた」と指摘されたことがある
- 夜中に何度も目が覚める
レーザー治療という選択肢もあります
マスクを使うCPAP治療に抵抗がある方や、根本的な改善をめざしたい方には、レーザー治療という方法もあります。
当院では、健康保険が適用されるレーザー治療を導入しています。
レーザー治療とは?
口蓋垂(のどちんこ)とその周囲の粘膜をレーザーで切除し、空気の通り道を広げる治療です。
いびきや無呼吸の原因となる振動部位を取り除くことで、症状の改善をめざします。
この治療は、いびきの軽減だけでなく、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)の改善にも効果が期待できます。
気道を物理的に広げることで、睡眠中の呼吸停止回数が減少し、睡眠の質が向上するケースもあります。
ただし、すべてのタイプの無呼吸に適応できるわけではないため、事前の検査と医師の診断が重要です。
特徴
- 健康保険が適用され、3割負担で受けられる
- 約10〜15分の短時間施術
- 局所麻酔で痛みや出血を軽減
- 日帰り治療が可能
- 翌日からの仕事復帰も検討可能(職種により異なる)
コレージュクリニックとは
当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。
いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
一人ひとりに寄り添いながら、健やかな眠りと快適な毎日をサポートいたします。
レーザー治療は保険適用、自己負担は約3割
ほとんどの治療は健康保険が適用され、自己負担額はおよそ31,000円前後。保険証をお忘れなくご持参ください。
医師紹介
都筑 俊寛(つづく としひろ)
耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。
- 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
- 日本めまい平衡医学会 参与
- 日本臨床医療レーザー協会 会員
- 帝京大学医学部 元准教授
いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。