column コラム
【2025年最新】睡眠時無呼吸症候群の治療法7選と効果比較
2025.10.27
目次
1.睡眠時無呼吸症候群とは?症状と危険性
2.睡眠時無呼吸症候群の治療法7選
3.生活習慣の改善による治療効果
4.いびきの治療法の効果比較と選び方
5.最新の治療トレンドと研究動向
6.いびき治療に関するよくある質問
7.まとめ:適切な治療で質の高い睡眠を
睡眠時無呼吸症候群とは?症状と危険性
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気です。多くの場合、大きないびきを伴い、日中の強い眠気や集中力低下などの症状が現れます。
実は日本の成人の約3人に1人がSAS予備群と言われるほど頻度の高い疾患です。放置すれば高血圧・心疾患・脳卒中・糖尿病などのリスクが高まることが明らかになっています。
私はこれまで28,000件以上のいびき治療を行ってきましたが、多くの患者さんが「ただのいびき」と軽視して受診が遅れるケースをよく目にします。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
- 大きないびきと睡眠中の呼吸停止
- 日中の強い眠気や倦怠感
- 起床時の頭痛や熟睡感の欠如
- 集中力・記憶力の低下
- 夜間頻尿
- イライラや抑うつ感
特に注意すべきは、無呼吸による酸素濃度の低下です。これが繰り返されることで、血圧の上昇や心臓への負担が増大し、様々な合併症のリスクが高まります。
睡眠時無呼吸症候群の治療法7選
睡眠時無呼吸症候群の治療法は、症状の重症度や原因によって選択肢が異なります。ここでは、現在の医学的エビデンスに基づいた7つの主要な治療法について詳しく解説します。
1. CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
CPAP療法は中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群患者に最も効果的な治療法です。マスクを通じて一定の圧力の空気を送り込み、気道が閉塞するのを防ぎます。
私の臨床経験では、適切にCPAP療法を継続できた患者さんの多くが、使用初日から効果を実感されています。無呼吸がほぼ確実に防止され、日中の眠気も劇的に改善するケースが多いです。
健康保険が適用されるため、3割負担の方で月額約5,000円程度と継続しやすい治療法です。ただし、マスクの装着感や機器の管理など、使用に慣れるまでに時間がかかる方もいらっしゃいます。
2. マウスピース療法(口腔内装置)
マウスピース療法は、下顎を前方に固定して気道を確保する治療法です。軽症から中等症の患者さん、またはCPAP療法が合わない方に適しています。
装置が小さく手軽で、旅行先でも使用できるという利点があります。私の患者さんの中には、CPAP療法の圧迫感が苦手でマウスピースに切り替えて満足されている方も多くいらっしゃいます。
保険適用の場合、3割負担で約1〜1.5万円程度で作製可能です。ただし、歯が20本以上必要であることや、顎関節痛などの副作用の可能性もあります。
3. レーザー治療
レーザー治療は、いびきの原因となる口蓋垂や軟口蓋の余分な組織を縮小・硬化させる治療法です。当院では痛みや出血の少ないレーザー治療を提供しており、日帰り手術で行うことができます。
私が28,000件以上の症例で実感しているのは、適切な症例選択を行えば、いびきや軽度の睡眠時無呼吸に対して満足度の高い治療法だということです。当院の調査では満足度94%という結果が出ています。
ただし、重症の睡眠時無呼吸症候群には効果が限定的なケースもあり、症状によっては他の治療法と併用することもあります。
4. 外科手術(根本治療)
外科手術は、明らかな気道狭窄の原因がある場合や、他の治療法が困難な患者さんに検討される選択肢です。口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)などの手術により、気道を物理的に拡大します。
しかし、手術リスクや回復期間が必要であり、必ずしも完治せず再発の可能性もあることを理解しておく必要があります。
手術内容により費用は5万〜30万円程度(保険適用3割負担の場合)となります。
5. 体位療法
仰向けで寝ると無呼吸が悪化する方には、横向きで寝るよう促す体位療法が効果的なことがあります。専用の枕やベルトを使用して、睡眠中の体位を維持する方法です。
比較的簡単に始められる治療法ですが、単独では効果が限られることも多く、他の治療法と組み合わせて用いられることが一般的です。
あなたは仰向けで寝ることが多いですか?もしそうなら、横向きで寝る習慣をつけるだけでも症状が改善するかもしれません。

生活習慣の改善による治療効果
睡眠時無呼吸症候群の治療において、生活習慣の改善は基本的かつ重要なアプローチです。特に肥満がある方は、体重減少だけでも症状が大きく改善することがあります。
6. 減量
肥満は睡眠時無呼吸症候群の最も多い原因の一つです。体重が増えると、首周りや舌の脂肪組織も増加し、気道が狭くなりやすくなります。
私の臨床経験では、体重を10%減らすだけでも無呼吸指数(AHI)が50%以上改善するケースをよく目にします。ただし、日中の眠気があるために運動量が確保できないこともあり、実際には減量が難しい場合もあります。
このような場合は、まず他の治療法で睡眠の質を改善し、その上で減量に取り組むという段階的なアプローチが効果的です。
7. 睡眠環境と習慣の改善
規則正しい睡眠スケジュールの維持や、寝る前のアルコール摂取を控えることも重要です。アルコールは喉の筋肉を緩め、無呼吸を悪化させることがわかっています。
また、禁煙も控えましょう。タバコは喉に炎症を起こし、睡眠中の無呼吸を起こしやすくします。禁煙することで、睡眠時無呼吸症候群になりにくくなります。
睡眠環境の整備も見逃せません。適切な温度・湿度の維持や、静かで暗い環境を作ることで、睡眠の質が向上します。
いびきの治療法の効果比較と選び方
睡眠時無呼吸症候群の治療法は一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせて選択することが重要です。ここでは各治療法の効果を比較し、適切な選択のポイントをご紹介します。
重症度別の推奨治療法
睡眠時無呼吸症候群の重症度は、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)で判断されます。
- 軽症(AHI 5〜15):生活習慣の改善、マウスピース療法、レーザー治療が有効
- 中等症(AHI 15〜30):CPAP療法、マウスピース療法、レーザー治療の併用が効果的
- 重症(AHI 30以上):CPAP療法が最も効果的、必要に応じて外科手術も検討
私は患者さんの状態を総合的に判断し、最適な治療法を提案しています。時には複数の治療法を組み合わせることで、より高い効果が得られることもあります。
例えば、CPAP療法とマウスピース療法を状況に応じて使い分けたり、レーザー治療と生活習慣の改善を併用したりするアプローチです。
治療継続率と満足度
どんなに効果的な治療法でも、継続できなければ意味がありません。CPAP療法は効果が高い反面、使用を中断してしまう方も少なくありません。
マウスピース療法やレーザー治療は、比較的継続率が高い傾向にあります。当院のレーザー治療では満足度94%という高い数字が出ていますが、これは適切な症例選択と丁寧な説明が重要な要素となっています。
治療法を選ぶ際は、効果だけでなく、あなたのライフスタイルや価値観に合った方法を選ぶことが成功の鍵です。
最新の治療トレンドと研究動向
睡眠時無呼吸症候群の治療は日々進化しています。2025年現在の最新トレンドと研究動向についてお伝えします。
GLP-1受容体作動薬の可能性
肥満を伴う閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して、GLP-1受容体作動薬のチルゼパチド(商品名ゼップバウンド)が新たな治療選択肢として注目されています。
米国食品医薬品局(FDA)は2024年末、肥満とOSAを有する患者に対する初の治療薬としてゼップバウンドを承認しました。体重減少を通じてOSAの重症度を軽減する効果が期待されています。
興味深いことに、患者と医師の間で治療法の好みに違いがあることも明らかになっています。医師はCPAP療法を支持する傾向がある一方、患者はGLP-1受容体作動薬による治療を望む傾向にあるようです。
ただし、この薬剤は肥満とOSAを併せ持つ方にのみ適応され、根治に至らない可能性もあることを理解しておく必要があります。
テクノロジーの進化
CPAP機器も進化を続けています。より小型で静音性の高い機器や、使用データをリアルタイムで医師と共有できるスマート機能を備えた製品も登場しています。
当院でも無線によるモニタリングシステムを導入しており、受診の際にCPAP機器本体や記憶カードを持ち込む必要がなく、データに基づいた質の高い診療を行っています。
こうしたテクノロジーの進化により、治療の継続率や効果の向上が期待されています。

いびき治療に関するよくある質問
睡眠時無呼吸症候群の治療に関して、患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。
Q1: 治療費はどのくらいかかりますか?
治療法によって費用は異なります。CPAP療法は健康保険が適用され、3割負担の方で月約5,000円程度です。マウスピース療法は保険適用で約1〜1.5万円、レーザー治療や外科手術は内容により異なりますが、保険適用で5万〜30万円程度です。
Q2: 治療はどのくらいの期間続ける必要がありますか?
CPAP療法やマウスピース療法は基本的に継続的な治療となります。レーザー治療や外科手術は1回の処置で効果が持続することもありますが、経過観察は必要です。生活習慣の改善は長期的に続けることが重要です。
Q3: 子供のいびきも治療が必要ですか?
子供のいびきも注意が必要です。特に扁桃肥大やアデノイド肥大が原因の場合は、適切な治療を行うことで成長発達への悪影響を防ぐことができます。気になる場合は専門医への相談をお勧めします。
Q4: 自分で無呼吸かどうか判断できますか?
大きないびき、日中の強い眠気、起床時の頭痛などの症状がある場合は疑われますが、確定診断には睡眠検査が必要です。簡易検査や精密検査(PSG)を行い、正確な診断を受けることが重要です。
Q5: 治療を受けるとどのような変化がありますか?
適切な治療により、日中の眠気や倦怠感の改善、集中力の回復、血圧の安定など様々な効果が期待できます。多くの患者さんが「人生が変わった」と感じるほどの変化を実感されています。
まとめ:適切な治療で質の高い睡眠を
睡眠時無呼吸症候群は放置すると様々な健康リスクをもたらす疾患ですが、適切な治療により大きく改善することができます。
CPAP療法、マウスピース療法、レーザー治療、外科手術、体位療法、減量、睡眠習慣の改善など、複数の治療選択肢があります。あなたの症状や生活スタイルに合った治療法を選ぶことが重要です。いびきや日中の眠気でお悩みの方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。
詳しい情報や無料相談はコレージュクリニック公式サイトをご覧ください
コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。
いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
一人ひとりに寄り添いながら、健やかな眠りと快適な毎日をサポートいたします。
レーザー治療は保険適用、自己負担は約3割
ほとんどの治療は健康保険が適用され、自己負担額はおよそ31,000円前後。保険証をお忘れなくご持参ください。
医師紹介
都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。
- 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
- 日本めまい平衡医学会 参与
- 日本臨床医療レーザー協会 会員
- 帝京大学医学部 元准教授
いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。