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花粉症レーザー治療のメリットとデメリット

2026.02.08

花粉症の症状に毎年悩まされている方にとって、薬だけでは十分に症状が抑えられないケースは少なくありません。

くしゃみ、鼻水、鼻づまり。

これらの症状が仕事や日常生活に大きな支障をきたすことも。そんな中、近年注目を集めているのが「レーザー治療」です。下鼻甲介粘膜焼灼術とも呼ばれるこの治療法は、鼻の粘膜をレーザーで焼くことでアレルギー反応を起こりにくくする方法です。

ただし、どんな治療にもメリットとデメリットが存在します。本記事では、花粉症レーザー治療の実際の効果や注意点、治療の流れについて詳しく解説していきます。最適な治療法を選ぶための参考にしていただければ幸いです。

目次
1.花粉症レーザー治療とは何か?
2.レーザー治療の主なメリット
3.レーザー治療のデメリットと注意点
4.レーザー治療が向いている人・向いていない人
5.よくある質問(FAQ)
6.まとめ〜花粉症レーザー治療のメリットとデメリット

花粉症レーザー治療とは何か?

花粉症に対するレーザー治療は、正式には「下鼻甲介粘膜焼灼術」と呼ばれる手術です。

鼻の中には下甲介という粘膜でおおわれた棚状の骨があり、この部分が花粉などの抗原に最も反応しやすい場所となっています。レーザー治療では、この下甲介粘膜の表面を医療用レーザー光で薄く焼くことにより、アレルギー反応が起こりにくい状態に変えていきます。

治療の仕組みと原理

粘膜をレーザーで焼くと、焼かれた部分は3~4週間かけて新しい粘膜に生え替わります。この新しい粘膜は、抗原が侵入しにくく腫れにくい性質を持つようになるのです。さらに、粘膜下のアレルギーに関係する細胞も減少するため、アレルギー症状が軽減されると考えられています。

治療は局所表面麻酔で行われ、手術時間は約15分程度。

痛み止めの薬をガーゼに染み込ませたものを鼻の中に数枚入れるだけの麻酔方法なので、注射は使用しません。処置中は焦げたような匂いがしますが、痛みはほぼないと報告されています。

対象となる症状と患者層

レーザー治療は、主に以下のような方に適しています。

  • 薬を飲んでもアレルギー性鼻炎や花粉症の症状が治まらない方
  • 胃腸が弱く、あまり薬を飲みたくない方
  • 妊娠を希望しているのでなるべく薬を飲みたくない方
  • ドライバーやパイロットなど職業上の理由で薬を飲んで眠気が来ることに不安がある方
  • 忙しくて花粉症の時期に十分に病院に通えない方

年齢的には小学校高学年から70代の方までが対象となり、動かないでいられる程度の協力が得られれば治療可能です。ただし、出血傾向のある方や血液をサラサラにする薬を服用している方、心臓病や高血圧などの循環器系の病気をお持ちの方は、事前に主治医への相談が必要になります。

レーザー治療の主なメリット

レーザー治療には、薬物療法にはない独自の利点がいくつも存在します。

レーザー治療のメリット1:長期的な効果の持続性

最も大きなメリットは、1回の治療で6ヶ月程度の効果が続くことです。

ハウスダストに対する有効性は約80%に認められており、症状が手術前の半分以下になる率も高い水準を維持しています。術後1ヶ月後では著効と中等度有効の合計が83%、7年経過後も57%の患者で症状が半減しているというデータもあります。

効果は個人差がありますが、5割強の方で7年以上効果が持続し、症状が再発した場合にも再手術によってコントロールすることが可能です。

レーザー治療のメリット2:薬の服用量を減らせる可能性

レーザー治療により鼻の粘膜の反応性が低下するため、これまで必要だった抗アレルギー薬の量を減らせる、あるいは完全に中止できる可能性があります。特に眠気などの副作用に悩まされていた方にとっては、生活の質を大幅に改善できる要因となります。

薬の副作用から解放されることで、仕事や家事の効率が上がり、学力や記憶力への影響も軽減されるでしょう。

レーザー治療のメリット3:日帰りで受けられる低侵襲性

レーザー治療は外来診療でも施行可能な低侵襲手術です。入院の必要がなく、手術当日も入浴などの日常生活に特に制約はありません。手術前の麻酔に20〜30分、レーザー照射に10〜15分程度、術後の様子見に15〜20分ほどで、トータル1時間ほどで治療が完了します。

出血もほとんどなく、術後の痛みも軽度です。鎮痛剤を服用される方は2~3人に1人程度であり、翌日以後も痛みが続くようなことはありません。

レーザー治療のメリット4:保険適用で費用負担が軽い

レーザー治療は保険適用の治療です。3割負担の場合、手術費用のみで約10,000円程度、初診料・検査料・処方箋料などを含めた総額でも約10,000円〜15,000円程度となります。医療証をお持ちのお子様の場合、自治体によっては窓口負担なしで受けられることもあります。

レーザー治療のデメリットと注意点

メリットが多いレーザー治療ですが、当然ながらデメリットや注意すべき点も存在します。

レーザー治療のデメリット1:効果の持続期間に限界がある

レーザー治療は体質そのものを変える治療ではありません。

効果は半年~1年程度で徐々に薄れてくることがあり、1~2年経つと元の粘膜に再生し、効果が減弱する傾向にあります。そのため、症状が再発した場合には再照射が必要になることがあります。ただし、再手術も前回同様に簡単に行えるため、数年に一度治療することで症状をコントロールすることは十分可能です。

レーザー治療のデメリット2:治療直後の一時的な症状悪化

治療後は鼻の中にかさぶたができやすくなり、特に最初の1週間は鼻づまりや鼻水などの花粉症のような症状が出ることがあります。レーザーの刺激で一過性の鼻づまり、鼻水が出るときは薬を服用する必要があります。また、治療の傷から出た少量の血液が鼻水に混じって出ることもありますが、手術翌日にはおさまる程度です。

2~3日は鼻汁が多く出ることがあり、術後しばらくはゼラチン状のかさぶたが付着します。2週目からはかさぶたが薄くなり鼻の通りは良くなってきて、4週目頃にはほぼ粘膜が再生します。

レーザー治療のデメリット3:治療時期の制約

スギ花粉症に対するレーザー治療は、花粉が飛散してからでは効果が期待できません。

術創が落ち着き効果がはっきりするのに1~2ヵ月かかるため、スギ花粉対策の場合は12月から1月頃、遅くとも2月上旬までに治療を行うのが最も効果的です。1月後半から4月は、レーザーの刺激で鼻炎症状がかえって悪化するため手術は行われません。

ハウスダストやダニが原因の通年性アレルギーの場合は、いつでもレーザー治療を行うことができます。

レーザー治療のデメリット4:すべての症状に等しく効くわけではない

レーザー治療は特に鼻づまりへの有効性が高いことが特徴ですが、鼻水の多い方では効果がやや限定的とも言われています。くしゃみ・鼻水に関与する神経を切断する手術(後鼻神経切断手術)と比較すると、鼻汁やくしゃみへの効果は相対的に低い傾向にあります。

また、レーザー手術が適さない方や効かない方には、鼻腔構造を改善する手術と神経切断術を同時に行う方法が選択されることもあります。

レーザー治療が向いている人・向いていない人

レーザー治療は万能ではなく、患者さんの状態や症状によって適応が異なります。

レーザー治療が特に効果的なケース

レーザー治療は、鼻づまりの症状が強い方に特に適しています。粘膜を焼くことで鼻腔が広がるため、鼻閉への有効性が高いのです。また、薬の副作用(眠気など)が苦手な方、妊娠中・授乳中または妊娠希望で薬を控えたい方、忙しくて頻繁に通院できない方にもおすすめです。

年中鼻が詰まっていて口呼吸になってしまう方、花粉症の時期を少しでも楽に過ごしたい方にも効果が期待できます。

他の治療法を検討すべきケース

一方で、以下のような方にはレーザー治療は不向きとされています。

  • 精神疾患、糖尿病をお持ちの方
  • 血液サラサラの薬を内服している方
  • 脳梗塞・脳出血後、狭心症・心筋梗塞後の方
  • 極端に神経質な方
  • 当院または他院でレーザーを行って、合併症があった方

また、本当に重症の方は、レーザーよりも鼻の形を変える手術や鼻水の出る神経を切る手術の方が有効であるとのデータもあります。レーザー手術が効かなかった方を含めても、後鼻神経切断手術・粘膜下下鼻甲介骨切除術は9割以上の患者に有効であり、3年間効果が持続すると報告されています。

よくある質問(FAQ)

Q1: レーザー治療は痛いですか?

表面麻酔を使用するため、処置中の痛みはほぼありません。術後の痛みも軽度で、鎮痛剤を服用される方は2~3人に1人程度です。翌日以後も痛みが続くようなことはありません。

Q2: 効果はどのくらい持続しますか?

個人差はありますが、1回の治療で6ヶ月程度の効果が続きます。5割強の方で7年以上効果が持続しますが、1~2年経つと効果が薄れてくることもあります。その場合は再照射が可能です。

Q3: 治療後すぐに仕事や学校に行けますか?

日常生活に特に制約はありませんので、通勤や通学には影響はないと考えられます。ただし、治療直後は一時的に鼻づまりや鼻水が出ることがあるため、可能であれば翌日以降に重要な予定を入れることをおすすめします。

Q4: 何回も繰り返し治療を受けられますか?

はい、可能です。症状が再発した場合には再照射によってコントロールすることができます。数年に一度治療することで、症状を管理している方も多くいらっしゃいます。

Q5: 花粉症以外のアレルギー性鼻炎にも効果がありますか?

はい、効果があります。ハウスダストやダニなどの通年性アレルギー性鼻炎に対しても約80%の有効性が認められています。温度や湿度の違いで反応する血管運動性鼻炎にも有効です。

まとめ〜花粉症レーザー治療のメリットとデメリット

花粉症レーザー治療は、薬物療法だけでは十分に症状が抑えられない方にとって、有力な選択肢となります。

1回の治療で6ヶ月程度の効果が続き、約80%の方に有効性が認められています。日帰りで受けられる低侵襲性、保険適用による費用負担の軽さ、薬の副作用からの解放といったメリットは大きいでしょう。

一方で、効果の持続期間に限界があること、治療直後の一時的な症状悪化、治療時期の制約といったデメリットも存在します。特に鼻づまりへの効果が高い一方で、鼻水やくしゃみへの効果は相対的に限定的な面もあります。

どのような方にどのような手術が適しているかを判断するには、それ相応の知識と経験が要求されます。手術を決心される場合には専門性の高い医療機関を受診して、それぞれのメリット、デメリットを良く検討されることをお勧めします。

当院では、患者さん一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた最適な治療法をご提案しています。花粉症やアレルギー性鼻炎でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。快適な日常を取り戻すお手伝いをさせていただきます。

 

出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36394879/

コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。 いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
一人ひとりに寄り添いながら、健やかな眠りと快適な毎日をサポートいたします。

レーザー治療は保険適用、自己負担は約3割

ほとんどの治療は健康保険が適用され、自己負担額はおよそ31,000円前後。保険証をお忘れなくご持参ください。

コレ―ジュクリニックとは

医師紹介

都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。

  • 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
  • 日本めまい平衡医学会 参与
  • 日本臨床医療レーザー協会 会員
  • 帝京大学医学部 元准教授

いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。

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