column コラム
鼻炎の症状を徹底解説!くしゃみ・鼻水・鼻づまりの原因と対処法
2026.02.01
目次
1.鼻炎の3大症状とそのメカニズム
2.風邪とアレルギー性鼻炎の見分け方
3.アレルギー性鼻炎の発症メカニズム
4.通年性と季節性:鼻炎の2つのタイプ
5.効果的な対処法と治療アプローチ
6.手術療法という選択肢
7.よくある質問(FAQ)
8.まとめ
季節の変わり目や朝起きたとき、突然止まらなくなるくしゃみや鼻水。
鼻づまりで夜眠れず、日常生活に支障をきたしている方も少なくありません。
鼻炎の症状は単なる不快感にとどまらず、集中力の低下や睡眠障害を引き起こし、生活の質を大きく下げてしまいます。実際、アレルギー性鼻炎の患者数は年々増加傾向にあり、多くの方が適切な対処法を求めています。
本記事では、鼻炎の代表的な症状であるくしゃみ・鼻水・鼻づまりのメカニズムから、風邪との見分け方、そして効果的な対処法まで、長年の臨床経験をもとに詳しく解説します。
鼻炎の3大症状とそのメカニズム
鼻炎の症状を理解するには、まず体の防御反応を知ることが重要です。
私たちの鼻は、外部から侵入する異物に対して敏感に反応するように設計されています。鼻から吸い込んだものが有害だと判断されると、くしゃみで排出し、鼻水で洗い流し、鼻づまりを起こして奥に入らないようにする防御反応が働きます。
これらの防御反応が過剰に起こり、さほど有害でないものに対しても強く反応してしまうのがアレルギー性鼻炎です。
くしゃみ:異物を排出する反射作用
くしゃみは、鼻腔内に侵入した異物を強制的に排出しようとする反射作用です。
アレルゲンが鼻粘膜に付着すると、肥満細胞からヒスタミンという化学伝達物質が放出されます。このヒスタミンが知覚神経を刺激し、脳を介して反射的にくしゃみが引き起こされるのです。アレルギー性鼻炎では発作的に連続して何度も出ることが多く、1回では収まらないのが特徴です。
朝方に症状が激しくなる傾向があり、これは「モーニングアタック」と呼ばれています。
鼻水:洗い流す防御システム
鼻水は、鼻腔内に侵入した異物を洗い流すための防御システムです。
アレルギー性鼻炎の場合、透明でサラサラとした水っぽい鼻水が大量に出るのが特徴です。これは、ヒスタミンが分泌神経を興奮させ、鼻腺に作用することで引き起こされます。鼻の穴から垂れ落ちたり、のどの奥に流れたりすることもあり、日常生活に大きな支障をきたします。
発作時以外では粘り気のある鼻水がたまることもあります。
鼻づまり:侵入を防ぐバリア機能
鼻づまりは、異物をこれ以上侵入させないという防御反応です。
化学伝達物質が血管に作用して血管を拡張させ、血漿成分が血管からにじみ出てむくみを生じさせます。その結果、鼻粘膜が腫れて空気の通りが著しく悪くなり、呼吸しづらくなるのです。鼻づまりは粘膜局所での反応が主であり、くしゃみや鼻水とは異なるメカニズムで発生します。
特に就寝時に症状が悪化しやすく、睡眠の質を大きく低下させる要因となります。
風邪とアレルギー性鼻炎の見分け方
くしゃみや鼻水は風邪でも起こる症状です。
しかし、原因と症状の現れ方には明確な違いがあります。風邪にはウイルスによる感染という明確な原因がありますが、アレルギー性鼻炎には花粉やハウスダストなどのアレルゲンによる免疫反応が関与しています。適切な対処をするためには、両者を正しく区別することが肝要です。
鼻水の性状で判断する
鼻水の色と粘度は重要な判断材料になります。
アレルギー性鼻炎では透明でサラサラとした鼻水が特徴的です。一方、風邪の場合は粘りっぽい黄色い鼻水が出ることが多く、これはウイルスと戦った白血球の残骸が含まれているためです。鼻水を観察するだけでも、ある程度の判断が可能になります。
症状の持続期間で見極める
症状がどれくらい続くかも重要なポイントです。
風邪の場合、症状は約10日程度で自然に治まります。しかし、アレルギー性鼻炎では2週間以上症状が続くことが一般的です。通年性アレルギー性鼻炎の場合は一年中症状が現れ、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)では開花期中に症状が繰り返し起こります。
随伴症状の有無を確認する
鼻の症状以外にどのような症状があるかも判断材料になります。
風邪では発熱やのどの痛み、せき、たん、悪寒などの全身症状を伴うことが多いです。一方、アレルギー性鼻炎では目のかゆみが特徴的で、発熱はほとんど見られません。また、アレルギー性鼻炎では朝方に症状が激しくなる傾向がありますが、風邪では一日中いつでも症状が現れます。
アレルギー性鼻炎の発症メカニズム
アレルギー性鼻炎は体質的な病気であり、基本的には薬で治るものではありません。
自然に治る率は10%前後とされており、多くの方は長期的な付き合いが必要になります。発症のメカニズムを理解することで、より効果的な対処法を選択できるようになります。
感作の成立:最初の出会い
アレルギー反応が起こるには、まず「感作」という準備段階が必要です。
ほこりやスギ花粉などのアレルゲンが鼻粘膜に付着すると、体内でそのアレルゲンだけに反応するIgE抗体という物質が作られます。このIgE抗体が肥満細胞の表面に結合した状態を「感作の成立」と呼びます。この時点ではまだ症状は現れませんが、次にアレルゲンが侵入したときに反応する準備が整った状態になります。
抗原抗体反応:症状の引き金
感作が成立した後、再びアレルゲンが侵入すると症状が現れます。
アレルゲンが肥満細胞表面のIgE抗体と結合すると、抗原抗体反応が起こります。この反応により、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質が放出されます。これらの物質が血管を拡張させて鼻づまりを起こすとともに、知覚神経に作用してくしゃみや鼻水を引き起こすのです。
神経を介した反応の増幅
鼻炎の症状は局所の反応だけでなく、神経を介して増幅されます。
知覚神経へと伝わった刺激は中枢(脳)を介して迷走神経を興奮させ、くしゃみを引き起こします。一方では分泌神経を興奮させることで鼻腺に作用し、鼻水を出します。アレルギー性鼻炎ではこの局所の反応と神経を介した反応の両方が亢進していると考えられており、症状が強く現れる原因となっています。
通年性と季節性:鼻炎の2つのタイプ
アレルギー性鼻炎は、症状が現れる時期によって大きく2つに分類されます。
それぞれ原因となるアレルゲンが異なり、対処法も変わってきます。自分がどちらのタイプか、あるいは両方を併発しているかを知ることが、適切な治療の第一歩です。
通年性アレルギー性鼻炎:一年中の悩み
通年性アレルギー性鼻炎は、季節に関係なく年中続くタイプです。
主な原因はハウスダスト(室内塵)で、ダニの死がいやフン、カビ、細菌、ペットの皮屑などが混合したものです。近年では冷暖房の普及や住宅の密閉化により、ダニが繁殖しやすい環境が増え、患者数も増加傾向にあります。就寝時に布団に寝転がると鼻との距離が近くなり、アレルゲンを吸い込みやすくなって鼻づまりが悪化することがあります。
季節性アレルギー性鼻炎:花粉症の実態
季節性アレルギー性鼻炎は、特定の時期だけに症状が現れるタイプです。
そのほとんどが花粉によるもので、一般的に「花粉症」と呼ばれています。スギやヒノキなどの花粉が飛散する春と秋に多く見られます。花粉症では鼻の症状に加えて、目のかゆみや皮膚のかゆみ、頭が重いといった症状が現れることもあります。地域によって植生分布が異なるため、原因となる花粉の種類も地域差があります。
効果的な対処法と治療アプローチ
鼻炎の症状を軽減するには、複数のアプローチを組み合わせることが妥当です。
治療法は大きく保存的治療と手術療法に分けられますが、まずは日常生活での工夫と薬物療法から始めるのが一般的です。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、症状の程度や生活スタイルに応じて選択することが重要になります。
抗原の除去:予防が最優先
症状を抑えるには、まずアレルゲンとの接触を減らすことが大事です。
ダニやハウスダストに対しては、週に1~2回、1回20秒/㎡の時間をかけて室内を丁寧に掃除することが推奨されます。室内の湿度を約50%、温度を20~25℃に保つことで、ダニの繁殖を抑えることができます。織物のソファーやじゅうたん、畳はできるだけ避け、ベッドのマットやふとん、枕には防ダニカバーをかけるのが効果的です。
花粉症の場合も同様に、室内への花粉の侵入を防ぐことが優先されます。
薬物療法:症状をコントロールする
薬物療法は最も一般的に使用されている治療法です。
抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)は長期投与の安全性も確認されており、多くの方に処方されています。ただし、効果が現れるまでに1週間程度かかることがあり、眠気や集中力の低下、のどの渇きなどの副作用が現れることもあります。ステロイド点鼻薬は効果が強く、効き目が早いという特徴があり、全身的な副作用はほとんどないとされています。
血管収縮剤は速効性がありますが、長期使用は避けるべきです。
減感作療法:体質改善を目指す
減感作療法(免疫療法)は、根本的な治癒が見込める唯一の方法です。
原因となっているアレルゲンを段階的に量を増やしながら体に投与していく方法で、有効率は70%前後とされています。ただし、週に1~2回の注射を少なくとも半年から1年間続ける必要があり、複数のアレルゲンにアレルギーがある場合は施行困難です。まれながら全身性のショックなど高度の副作用が起こる可能性もあるため、専門医との相談が必須です。
手術療法という選択肢
薬物療法で十分な効果が得られない場合、手術療法が選択肢になります。
手術によって体質そのものを変えることはできませんが、鼻粘膜をアレルギー反応が起こりにくい状態に変えることは可能です。様々な手術方法が開発されており、患者さんの状態に応じて最適な方法を選択することが重要になります。
下甲介粘膜焼灼術:日帰りで可能な治療
レーザー手術やアルゴンガス凝固術は、最も一般的な手術療法です。
粘膜を浅く焼くことで、アレルゲンが侵入しにくく腫れにくい粘膜に生え替わらせます。手術を受けた患者さんの約80%が日常生活に支障がない程度になり、5割強は7年以上効果が持続します。局所表面麻酔で約15分程度で終了し、日帰りで安全に行える手術として普及しています。術後1ヶ月後では著効と中等度有効の合計が83%、7年経過後も57%の患者さんで症状が半減しているという結果が出ています。
後鼻神経切断術:より高い効果を求める方へ
レーザー手術が効かない方には、より高度な手術方法があります。
鼻腔構造を改善する手術と、くしゃみ・鼻汁に関与する神経を切断する手術(後鼻神経切断手術・粘膜下下鼻甲介骨切除術)を同時に行う方法です。この手術はレーザー手術が効かなかった方を含めても9割以上の患者さんに有効であり、かつ3年間効果が持続することが期待できます。ただし、どの手術方法が適しているかは専門性の高い医療機関で判断してもらう必要があります。
よくある質問(FAQ)
Q1:鼻炎の症状は風邪と見分けられますか?
見分けることは可能です。アレルギー性鼻炎では透明でサラサラした鼻水が特徴的で、発熱はほとんどありません。一方、風邪では粘りっぽい黄色い鼻水が出て、発熱やのどの痛みを伴うことが多いです。また、アレルギー性鼻炎では症状が2週間以上続きますが、風邪は約10日程度で治まります。
Q2:薬を飲んでも症状が改善しない場合はどうすればよいですか?
薬物療法で十分な効果が得られない場合は、手術療法を検討する価値があります。レーザー手術やアルゴンガス凝固術は約80%の方に有効で、日帰りで安全に行えます。より高い効果を求める場合は、後鼻神経切断手術という選択肢もあります。専門性の高い医療機関で相談されることをお勧めします。
Q3:アレルギー性鼻炎は完治しますか?
アレルギー性鼻炎は体質的な病気であり、完治は難しいのが実情です。自然に治る率は10%前後とされています。ただし、減感作療法(免疫療法)は根本的な治癒が見込める唯一の方法で、有効率は70%前後です。また、手術療法によって症状を長期間コントロールすることは可能です。
Q4:ハウスダスト対策で最も効果的な方法は何ですか?
最も効果的なのは定期的な掃除です。週に1~2回、1回20秒/㎡の時間をかけて室内を丁寧に掃除することが推奨されます。加えて、室内の湿度を約50%、温度を20~25℃に保つことでダニの繁殖を抑えられます。ベッドのマットやふとん、枕に防ダニカバーをかけることも有効です。
Q5:手術後に症状が再発することはありますか?
再発する可能性はあります。レーザー手術の場合、5割強の方は7年以上効果が持続しますが、症状が再発した場合でも再手術によってコントロールすることが可能です。後鼻神経切断手術では3年間効果が持続することが期待できます。どの手術方法が適しているかは、専門医と相談して決めることが重要です。
まとめ:症状と向き合い、適切な対処を
鼻炎の症状は日常生活に大きな影響を与えます。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりという3大症状は、体の防御反応が過剰に働いた結果です。風邪とアレルギー性鼻炎では原因も症状の現れ方も異なるため、正しく見分けることが適切な対処の第一歩になります。
治療法は抗原の除去、薬物療法、減感作療法、手術療法と多岐にわたります。軽症の場合は日常生活での工夫と薬物療法で十分コントロールできることが多いですが、症状が重い場合や薬が効きにくい場合は手術療法も有効な選択肢です。
アレルギー性鼻炎は体質的な病気であり、完治は難しいかもしれません。しかし、適切な治療とセルフケアによって症状を軽減し、生活の質を向上させることは十分可能です。症状でお困りの方は、専門性の高い医療機関で相談されることをお勧めします。
当院では、患者さん一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた治療法をご提案しています。鼻炎の症状でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36394879/
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35243888/
コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。
いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
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医師紹介
都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。
- 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
- 日本めまい平衡医学会 参与
- 日本臨床医療レーザー協会 会員
- 帝京大学医学部 元准教授
いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。