column コラム
子供のアデノイド肥大|症状・原因・治療法を専門医が徹底解説
2026.03.10

1.アデノイド肥大とは?鼻と喉の間にある組織の役割
2.アデノイド肥大の主な症状|見逃せないサイン
3.アデノイド肥大の診断方法|どのように見つけるのか
4.アデノイド肥大の治療法|保存療法と手術療法
5.手術後のケアと注意点|回復までのプロセス
6.よくある質問(FAQ)
7.まとめ
お子様が夜中にいびきをかいていたり、いつも口を開けて呼吸していることに気づいたことはありませんか?
それは単なる癖ではなく、アデノイド肥大という状態が関係しているかもしれません。放置すると顔の発育や学習能力にも影響を及ぼす可能性があるため、早期発見と適切な対応が肝要です。
私は28,000件以上の症例経験を持つ耳鼻咽喉科専門医として、多くのお子様とご家族を診てきました。この記事では、アデノイド肥大の症状から治療法まで、保護者の方が知っておくべき情報を詳しくお伝えします。
アデノイド肥大とは?鼻と喉の間にある組織の役割
アデノイドは鼻腔の奥、喉との間にある上咽頭に位置するリンパ組織のかたまりです。
扁桃腺と同様に、外部から侵入してくる細菌やウイルスを捉え、体を守る免疫機能を担っています。鼻や口から入ってくる病原体に対する防御の最前線として、子供の成長期において重要な役割を果たすのです。
アデノイドは2歳から3歳頃から徐々に大きくなり始め、5歳から6歳頃にピークを迎えます。その後は成長に伴って徐々に縮小していき、10歳を過ぎると次第に小さくなり、18歳から20歳頃にはほとんど認められなくなるのが一般的です。
ただし、個人差が大きく、すべてのお子様が同じように縮小するわけではありません。
アレルギー、慢性副鼻腔炎、または繰り返す風邪などは、アデノイド肥大に拍車をかける可能性があります。特に保育園や幼稚園に通い始める時期は、他の子供たちと社会活動をし始める時期であり、お互いに風邪を引きやすくなるからです。風邪を繰り返すことで、アデノイド肥大を刺激してしまうケースも少なくありません。
扁桃組織とアデノイドの関係性
のどには複数の扁桃組織が存在します。
咽頭扁桃(アデノイド)、口蓋扁桃(扁桃腺)、舌扁桃、耳管扁桃の4つの組織があり、これらが輪っか状に配置されて「ワルダイエル咽頭輪」と呼ばれる防御システムを形成しています。アデノイドと口蓋扁桃は特に重要で、両方とも肥大している場合には、より深刻な症状を引き起こすことがあります。
アデノイド肥大の主な症状|見逃せないサイン
アデノイド肥大が起こると、鼻の奥をふさぐことになり、さまざまな症状が現れます。
鼻呼吸の障害と口呼吸
最も特徴的な症状は鼻詰まりです。肥大したアデノイドが気道を閉塞することで、鼻呼吸が困難になります。その結果、子供は口呼吸になり、普段から口を開けている状態が続きます。
鼻が詰まっていびきをかく子供を診察すると、口呼吸の症状が見られることが多いです。
口呼吸が続くと「アデノイド顔貌」という、しまりのない顔つきになることがあります。顎の発達が妨げられ、顔の骨格形成にも影響を及ぼすのです。
睡眠障害といびき
夜間のいびきは、アデノイド肥大の代表的なサインです。
空気の通り道が狭くなるため、いびきだけでなく、落ち着きがなくなり、よく眠れなくなります。重症化した場合は、寝ている間に呼吸が一時的に止まる「睡眠時無呼吸症候群」が起こることもあります。
乳幼児では、仰向けで寝ることができなくなって、横向きに寝る、首を後ろに反らせて口呼吸をして寝るなどの異常な睡眠体位をとるようになります。睡眠障害の結果、日中の活動性が低下し、夜尿がみられたり、睡眠中の成長ホルモンの分泌障害から低体重、低身長につながることもあります。
中耳への影響と難聴
アデノイドが耳管咽頭口(のどから耳につながる管の入り口)をふさぐことによって、鼓膜がへこんで、滲出性中耳炎を引き起こすこともあります。
急性中耳炎を繰り返したり、滲出性中耳炎が治りにくくなることで、聴力の低下につながる可能性があります。慢性的な耳の感染症や耳の中に液体が溜まる原因となり、お子様の言語発達や学習能力にも悪影響を及ぼします。
その他の症状
鼻声になる、食べ物が飲み込みにくくなる、食事に時間がかかるなどの症状も見られます。
肥大した扁桃腺やアデノイドがのどのスペースを大きく占めるために、食べ物の通り道が狭くなって、嚥下困難が生じることがあり、子供では成長障害につながります。また、アデノイドには細菌が潜んでいるため、細菌の貯蔵庫になり、子供が何度も風邪をひく原因になることがあります。
アデノイド肥大の診断方法|どのように見つけるのか
アデノイド肥大の診断は、視診やレントゲン、内視鏡検査などを組み合わせて行います。
視診と問診
まず、お子様が何度も風邪を繰り返すことを心配して来院される方がほとんどです。
診察では、口を開けて扁桃腺の肥大具合を観察します。扁桃腺が大きい場合、アデノイドが肥大していると推測できます。これらは両方とも一緒に肥大する傾向があるからです。鼻詰まり、口呼吸、いびきなどの症状を詳しくお聞きし、睡眠時の様子や日中の活動性についても確認します。
レントゲン検査
側頭部のX線写真を検査し、アデノイドの影をみることで診断を確認することがあります。
レントゲンでは、鼻咽腔のとおりが悪くないかを確認し、アデノイドの大きさを客観的に評価できます。ただし、お子様がじっとしていられない場合や、より正確な状況を判断する必要がある場合には、内視鏡検査を実施します。
内視鏡検査
お子様が検査に協力できる年齢に達している場合、アデノイドの大きさを確認するために、鼻からファイバー(内視鏡)を使用して鼻腔の内部を検査することがあります。
検査時に子供がじっとしていられない場合も、内視鏡を使用することで映像を再生して確認できます。必要に応じてCT検査や血液検査を実施し、副鼻腔炎やアレルギーの有無も調べます。
睡眠時無呼吸症候群の検査
5歳くらいから子供にも睡眠時無呼吸症候群の簡易検査を行うことができます。
その結果を基に扁桃肥大・アデノイド肥大の影響を確認し、手術の必要性を判断します。睡眠呼吸障害の程度が強い場合は、アデノイドを切除することを検討します。
アデノイド肥大の治療法|保存療法と手術療法
アデノイド肥大の治療は、病状の重症度と患者が経験する症状によって異なります。
経過観察と保存的治療
アデノイド肥大が大きくても、呼吸障害や睡眠障害への影響が大きくなければ、経過観察を行います。
アデノイドは時間の経過とともに自然に縮小する可能性があるため、軽度の場合は注意深い経過観察を勧める場合があります。6歳くらいにアデノイドの大きさはピークになり、8歳から10歳くらいの時期に縮小していくため、肥大による症状がない場合には経過観察を行っていきます。
お子様にまだ炎症や感染症がある場合、抗生物質で治療します。滲出性中耳炎や副鼻腔炎などを発症している場合は、それに対する治療を行います。
薬物療法
炎症を軽減するために、鼻づまり解消薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド点鼻薬などの薬が処方されることがあります。
子供にもアレルギーの問題がある場合、アレルギー症状を抑えるための適切な薬を処方し、症状を観察していただきます。加湿器を使用して空気を湿らせておくことや、アレルゲンを避けることも、症状を軽減するのに役立つ家庭でのケア方法です。
手術療法(アデノイド切除術)
薬で十分に治療しても症状が改善されない場合、またはいびきの症状が軽減されない場合、それ以降も風邪を繰り返す場合は、手術を検討します。
縮小を待てないほど鼻詰まりが深刻な場合や、中耳への悪影響がある場合、さらに睡眠時無呼吸症候群の原因と考えられる場合などには手術を検討します。睡眠呼吸障害や嚥下障害が顕著な場合は、アデノイド切除や口蓋扁桃摘出術の適応になります。
アデノイド切除術は、全身麻酔で実施できる比較的簡単な手術です。口の中に入れた手術器具を使用しますので、目に見える範囲での傷はなく、所要時間は約1時間です。手術によって、直後からこれらの症状の改善がみられます。
ただし、アデノイドは切除してもまた大きくなることがあるので、手術後も治療効果が持続しているかどうか、経過をみることが大切です。
手術後のケアと注意点|回復までのプロセス
手術後は適切なケアが必要です。
術後の生活で気をつけること
水で口をすすぐ、歯磨きをするなど、口の中を清潔に保つようにしてください。
特に最初の1週間は、喉に傷により、のどの痛みを感じ、食事の量が減ります。柔らかく消化の良い食べ物を食べるようにしてください。味の濃くない、おかゆ、柔らかい麺類、茶わん蒸し等がいいでしょう。子供は3週間以内には、普通に食事をするようになります。
少なくとも3週間は水泳を避けてください。1週間程度は、学校をお休みするといいでしょう。
手術のリスクと合併症
出血や傷の感染などの合併症が発生する可能性は非常に低いです。
手術はなるべくお子様に受けさせたくない、手術は心配というのが普通です。しかし、手術のリスクと病気の進行のリスクを慎重に比較検討する必要があります。病気が進行するリスクは、手術のリスクよりも明らかに大きいです。
アデノイド手術は、特に手術が経験豊富な医師によって行われた場合、なおさら非常に有効で安全な手術です。
よくある質問(FAQ)
Q1: アデノイド肥大は何歳まで様子を見ていいですか?
一般的に、アデノイドは5歳から6歳頃にピークを迎え、その後10歳頃までに自然に縮小していきます。ただし、呼吸障害や睡眠障害、中耳炎を繰り返すなどの症状がある場合は、年齢にかかわらず早めの治療が必要です。症状の程度によって判断が異なりますので、専門医にご相談ください。
Q2: 手術をすると免疫力が低下しますか?
よく質問されるのは、「扁桃腺とアデノイドを切除することにより、子供の免疫力が低下することはあるか」ということです。研究により、手術によって体の免疫力が低下しないことが確認されています。他のリンパ組織が免疫機能を補うため、心配する必要はありません。
Q3: 手術をしてもまた大きくなることはありますか?
アデノイドは切除してもまた大きくなることがあります。そのため、手術後も治療効果が持続しているかどうか、経過をみることが大切です。ただし、再発する確率は高くなく、多くの場合は良好な経過をたどります。
Q4: アデノイド肥大と副鼻腔炎は関係がありますか?
はい、密接に関係しています。アレルギー、慢性副鼻腔炎、または繰り返す風邪などは、アデノイド肥大に拍車をかける可能性があります。また、肥大したアデノイドがあると滲出性中耳炎や副鼻腔炎が治りにくくなります。両方の治療を並行して行うことが重要です。
Q5: 口呼吸を改善する方法はありますか?
アデノイド肥大が原因の口呼吸は、根本的な治療が必要です。軽度の場合は、鼻づまり解消薬やステロイド点鼻薬などで改善することがあります。ただし、肥大が高度な場合は手術が必要となることもあります。まずは耳鼻咽喉科で原因を正確に診断することが大切です。
まとめ|早期発見と適切な治療が鍵
アデノイド肥大は、お子様の成長期によく見られる状態ですが、放置すると顔の発育や学習能力にも影響を及ぼす可能性があります。
いびき、鼻詰まり、口呼吸などの症状に気づいたら、早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。診断には視診、レントゲン、内視鏡検査などを組み合わせて行い、症状の程度に応じて経過観察、薬物療法、手術療法を選択します。
28,000件以上の症例経験から言えることは、早期発見と適切な治療によって、多くのお子様が健やかな成長を取り戻しているということです。
お子様の症状で気になることがあれば、ぜひ専門医にご相談ください。
コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。
いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
一人ひとりに寄り添いながら、健やかな眠りと快適な毎日をサポートいたします。
レーザー治療は保険適用、自己負担は約3割
ほとんどの治療は健康保険が適用され、自己負担額はおよそ31,000円前後。保険証をお忘れなくご持参ください。
医師紹介
都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。
- 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
- 日本めまい平衡医学会 参与
- 日本臨床医療レーザー協会 会員
- 帝京大学医学部 元准教授
いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。