column コラム

いびき対策に効果的な7つの寝方〜快適な睡眠を取り戻す方法

2025.10.28

目次

1.いびきに効果的な寝方とは?
2.いびきの原因と睡眠への影響
3.いびき対策に効果的な7つの寝方
4.いびきを悪化させる寝方と避けるべきポイント
5.いびき改善のための生活習慣改善
6.いびきが睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれない場合
7.いびき治療に関するよくある質問
8.まとめ:快適な睡眠を取り戻すために

いびきに効果的な寝方とは?

パートナーのいびきで眠れない夜を過ごしていませんか?あるいは、自分自身のいびきが周囲に迷惑をかけているのではないかと心配していませんか?

いびきは単なる音の問題ではなく、睡眠の質を大きく低下させ、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。特に深刻な場合は、睡眠時無呼吸症候群という病気につながることもあるのです。

この記事では、いびきの原因から効果的な対策、特に「寝方」に焦点を当てた7つの実践的な方法をご紹介します。28,000件以上のいびき治療実績を持つ耳鼻咽喉科医の視点から、科学的根拠に基づいた対策をお伝えします。

いびきの原因と睡眠への影響

いびきは、睡眠中に上気道(鼻から喉にかけての空気の通り道)が狭くなることで発生します。この狭くなった空気の通り道を空気が通過する際、周囲の軟組織が振動して音が生じるのです。

特に仰向けで寝ている場合、重力の影響で舌根(舌の付け根)が喉の奥に落ち込み、気道を塞ぎやすくなります。これがいびきの主な原因の一つです。

2025年のいびきに関する実態調査によれば、いびきに悩む人は年々増加傾向にあり、現在では約48.5%の人が自身のいびきに悩んだ経験があるとされています。特に男性は54.2%、女性も42.8%と性別を問わず多くの方が抱える悩みとなっています。

さらに気になるのは、いびきが睡眠の質に与える影響です。いびきをかく人は深い睡眠状態に入る時間が短くなり、睡眠が浅くなりがちです。その結果、日中の強い眠気や集中力の低下、疲労感の蓄積といった問題が引き起こされます。

いびき対策に効果的な7つの寝方

いびきの改善には寝る姿勢が非常に重要です。適切な寝方を実践することで、今夜からいびきを軽減できる可能性があります。

研究によると、睡眠時無呼吸症候群の患者さんの約半数以上が「体位依存性」といって、仰向けで寝ているときに症状が悪化する特徴を持っています。つまり、寝方を変えるだけでいびきが改善する可能性が高いのです。

1. 横向き寝を習慣化する

いびき対策として最も簡単で効果的な方法が「横向きで寝る」ことです。横向きになることで、重力による舌根の落ち込みを防ぎ、気道を確保しやすくなります。

米国国立衛生研究所(NIH)の研究では、仰向けで寝ている時の無呼吸・低呼吸指数(AHI)は、横向きで寝ている時と比較して約2倍高くなることが報告されています。つまり、横向き寝に変えるだけで、いびきの回数が半減する可能性があるのです。

横向き寝を維持するコツとして、抱き枕を使うと自然な横向き姿勢をキープしやすくなります。また、背中にテニスボールを縫い付けたTシャツを着て寝る方法も効果的です。仰向けになろうとすると不快感があり、自然と横向きに戻るようになります。

2. 頭部を少し高くする

枕の高さを調整して、頭部を約15センチほど挙上させる寝方も効果的です。頭部を少し高くすることで、気道が広がり、いびきの軽減につながります。

ただし、枕が高すぎると首に負担がかかり、逆効果になることもあります。理想的な高さは、横になった時に首の骨が背骨とまっすぐになる高さです。自分に合った高さを見つけるには、タオルを重ねて調整し、どの高さが一番呼吸しやすいか試してみるのも良い方法です。

あなたの体型や好みによって最適な枕の高さは異なります。枕選びに迷ったら、専門店で相談するのもおすすめです。

3. うつ伏せ寝を試してみる

うつ伏せ寝も、いびき改善に効果がある寝方の一つです。うつ伏せになると舌が前方に引っ張られ、気道が開きやすくなるためです。

ただし、うつ伏せ寝は首や腰に負担がかかりやすいという欠点があります。特に首を横に向けて寝ることで、首の筋肉に負担がかかり、朝の首こりの原因になることも。

うつ伏せ寝を快適に行うには、専用の枕を使用するか、薄めの枕を使って首への負担を減らす工夫が必要です。長時間のうつ伏せ寝が辛い場合は、寝入りだけうつ伏せで、その後横向きに変えるという方法も効果的です。

いびきを悪化させる寝方と避けるべきポイント

いびき改善のためには、効果的な寝方を実践するだけでなく、いびきを悪化させる寝方を避けることも重要です。

仰向け寝はいびきを最も悪化させる寝姿勢です。重力の影響で舌や軟口蓋が喉の奥に落ち込み、気道を狭めるためです。

また、枕が高すぎたり低すぎたりする場合も、気道の角度が適切に保てず、いびきの原因となります。枕が高すぎると顎が引けて首が圧迫され、気道が狭くなります。逆に低すぎると頭が下がり口が開きやすくなり、舌が落ち込む原因になります。

さらに、寝具が柔らかすぎる場合も注意が必要です。体が沈み込みすぎると、自然と仰向けの姿勢になりやすく、結果としていびきを悪化させることがあります。適度な硬さのマットレスを選ぶことも、いびき対策の一環と言えるでしょう。

5. 仰向け寝を避ける工夫

仰向け寝を避けるための具体的な方法をいくつかご紹介します。

テニスボール法は古典的ですが効果的な方法です。Tシャツの背中部分にテニスボールを縫い付けるか、ポケットを作ってボールを入れます。仰向けになろうとすると不快感があり、自然と体が横向きに動きます。

最近では、仰向けになると振動で知らせてくれる体位センサー付きの小型デバイスも市販されています。スマートフォンと連動して睡眠データを記録できるものもあり、効果の確認がしやすいのが特徴です。

また、背もたれクッションを背中に当てて寝ることで、仰向けになりにくくする方法も簡単に試せます。抱き枕と組み合わせると、さらに横向き姿勢を維持しやすくなります。

5. 自分に合った枕の高さを見つける

枕の高さは、いびき対策において非常に重要な要素です。自分に合った高さの枕を見つけるためのチェックポイントをご紹介します。

まず、仰向けになった時に、顎が胸に引きつけられるような高さは避けましょう。これは気道を狭める原因になります。理想は、首のカーブが自然に保たれ、顎が少し上がる程度の高さです。

次に、横向きになった時は、首の骨と背骨が一直線になるような高さが理想的です。肩幅が広い方は、その分だけ枕が高くなる傾向があります。

枕の素材も重要です。低反発素材は体圧を分散させる効果がありますが、沈み込みすぎると首のサポートが不十分になることも。羽毛やそば殻などの素材は、形状の調整がしやすいというメリットがあります。

いびき改善のための生活習慣改善

寝方の改善と併せて、日常の生活習慣を見直すことで、いびきの改善効果をさらに高めることができます。

2025年のいびき実態調査によると、自身のいびきに悩む人の約70%が何らかの対策を行っていますが、残りの30%は「何をしたら良いかわからない」という理由で対策を取っていないことが明らかになっています。

6. 適正体重の維持と肥満の解消

肥満はいびきの大きな原因の一つです。首周りに脂肪が蓄積することで気道が圧迫され狭くなります。また、舌周りの脂肪も増えることで舌の面積が広がり、気道を塞ぎやすくなります。

体重管理は、いびき対策として非常に効果的です。実際に、体重減少によりいびきが改善したという報告は数多くあります。特に首周りの脂肪が減ることで、気道の圧迫が軽減されます。

適度な運動と健康的な食事習慣を心がけましょう。特に就寝前の過食は避け、夕食は寝る3時間前までに済ませるのが理想的です。

体重管理は一朝一夕にはいきませんが、長期的に見れば最も効果的ないびき対策の一つと言えるでしょう。

7. 就寝前のアルコールと睡眠薬を控える

就寝前のアルコール摂取は、いびきを悪化させる大きな要因です。アルコールには筋肉を弛緩させる作用があり、喉の筋肉も緩むため気道が狭くなります。

同様に、睡眠薬や精神安定剤にも筋弛緩作用があり、いびきを悪化させることがあります。どうしても服用が必要な場合は、医師に相談し、いびきへの影響が少ない薬を選んでもらうことが大切です。

特に飲み会やお酒を楽しむ機会の後は、いつも以上にいびきがひどくなることがあります。そんな日は特に、横向き寝を心がけるなど、寝方に気を配るとよいでしょう。

アルコールを完全に避けるのが難しい場合は、就寝の3時間前までに飲酒を終えるようにすると、影響を最小限に抑えられます。

いびきが睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれない場合

単なるいびきと睡眠時無呼吸症候群は区別することが重要です。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。

以下のような症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

  • 大きないびきの後に呼吸が止まる
  • 日中の強い眠気や倦怠感がある
  • 十分な睡眠時間があるのに疲れが取れない
  • 朝起きた時に頭痛がする
  • 集中力の低下や意欲の低下がある

これらの症状に心当たりがある場合は、専門医への相談をお勧めします。睡眠時無呼吸症候群は放置すると、高血圧や心疾患、脳卒中などの深刻な病気のリスクを高める可能性があります。

当院では、いびきや睡眠時無呼吸症候群に対して、レーザー治療を行っています。レーザー治療は、口蓋垂(のどちんこ)の周辺部分をレーザーにより切除し、気道を広げる治療法です。日帰りで行える治療で、90%の方のいびきが改善されています。

いびき治療に関するよくある質問

Q1: いびきをかいているかどうか、自分ではどうやって確認できますか?

スマートフォンの録音アプリを使って、睡眠中の音を録音してみるのが簡単な方法です。また、睡眠トラッキングアプリの中には、いびきを検出・記録する機能を持つものもあります。パートナーや家族に確認してもらうのも確実な方法の一つです。

Q2: 子供のいびきも対策が必要ですか?

子供のいびきは、扁桃腺やアデノイドの肥大が原因であることが多いです。継続的ないびきがある場合や、呼吸が止まるような症状がある場合は、小児科や耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。成長に影響を与える可能性もあるため、放置せずに専門医に相談することが大切です。

Q3: 市販のいびき防止グッズは効果がありますか?

鼻腔拡張テープやマウスピースなど、様々ないびき防止グッズがありますが、効果には個人差があります。鼻づまりが原因のいびきには鼻腔拡張テープが効果的なことがありますし、軽度の舌根沈下には専用のマウスピースが有効な場合もあります。ただし、根本的な解決にはならないことが多いので、症状が改善しない場合は専門医への相談をお勧めします。

Q4: いびき治療は保険適用されますか?

当院で行っているいびきのレーザー治療は、健康保険を適用した保険診療が認められています。ただし、睡眠時無呼吸症候群の診断があるかどうかなど、条件によって適用範囲が異なります。詳しくは診察時にご相談ください。

Q5: レーザー治療後はすぐに効果がありますか?

レーザー治療後、多くの患者さんは1〜2週間程度で効果を実感されます。ただし、手術直後は喉の腫れや痛みがあるため、一時的にいびきが悪化することもあります。完全な回復と効果の安定には約1ヶ月程度かかることが一般的です。

まとめ:快適な睡眠を取り戻すために

いびきは単なる音の問題ではなく、睡眠の質や健康に大きく影響する可能性がある症状です。今回ご紹介した7つの寝方と生活習慣の改善を実践することで、多くの場合いびきは軽減できます。

特に横向き寝の習慣化や適切な枕選び、体重管理などは、今日から始められる効果的な対策です。しかし、強いいびきや日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあるため、専門医への相談をお勧めします。詳しい情報や診療予約は、コレージュクリニックのウェブサイトをご覧ください。

 

コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。 いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
一人ひとりに寄り添いながら、健やかな眠りと快適な毎日をサポートいたします。

レーザー治療は保険適用、自己負担は約3割

ほとんどの治療は健康保険が適用され、自己負担額はおよそ31,000円前後。保険証をお忘れなくご持参ください。

コレ―ジュクリニックとは

医師紹介

都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。

  • 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
  • 日本めまい平衡医学会 参与
  • 日本臨床医療レーザー協会 会員
  • 帝京大学医学部 元准教授

いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。

ドクター紹介