column コラム
睡眠時無呼吸症候群の症状チェックリスト…日中の眠気は危険信号
2025.11.24
目次
1.睡眠時無呼吸症候群とは…あなたの睡眠は本当に大丈夫ですか
2.睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状チェックリスト
3.日中の眠気が「危険信号」である理由
4.睡眠時無呼吸症候群が健康に及ぼす深刻な影響
5.睡眠時無呼吸症候群の診断方法…正確な検査が重要
6.睡眠時無呼吸症候群の治療法…CPAP療法を中心に
7.よくある質問
8.まとめ
睡眠時無呼吸症候群とは…あなたの睡眠は本当に大丈夫ですか
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。一般的には、睡眠中に10秒以上の呼吸停止(無呼吸)が1時間あたり5回以上起こる状態を指します。日本人成人の約3人に1人がSAS予備群とも言われており、決して珍しい疾患ではありません。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群の症状チェックリストをご紹介し、日中の眠気がなぜ危険信号なのかを詳しく解説します。また、症状の背景にある病態や健康への影響、適切な診断・治療法についても、睡眠医学に携わってきた経験を踏まえてお伝えします。
睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状チェックリスト
睡眠時無呼吸症候群の症状は多岐にわたります。
ご自身やご家族の状態を確認するため、以下のチェックリストをご活用ください。該当する項目が多いほど、SASの可能性が高まります。
睡眠中の症状
- 大きないびきをかく…周囲の人から指摘されることが多い
- 呼吸が止まる…家族が睡眠中の無呼吸を目撃している
- 息苦しさで目が覚める…夜間に何度も覚醒する
- 寝汗をかく…特に首や胸のあたりに汗をかきやすい
- 夜間頻尿…トイレに起きる回数が増えた
起床時の症状
- 朝起きたときに頭痛がする…特にこめかみや後頭部の痛み
- 口が渇いている…口呼吸による乾燥
- 熟睡感がない…何時間寝ても疲れが取れない
- 体がだるい…起床時から倦怠感がある
- むくみ…顔や手足のむくみが目立つ
日中の症状
- 強い眠気…会議中や運転中など、我慢できないほどの眠気
- 集中力の低下…仕事や勉強に集中できない
- 記憶力の低下…物忘れが増えた
- 気分の落ち込み…抑うつ状態やイライラしやすい
- 性機能障害…男性の勃起障害など
これらの症状のうち、複数に該当する場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。特に日中の強い眠気は、生活の質を著しく低下させるだけでなく、交通事故などの重大な事故につながるリスクがあるため、早急な対応が必要です。
日中の眠気が「危険信号」である理由
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に何度も呼吸が止まることで、脳が酸素不足に陥ります。すると脳は呼吸を再開させるために断続的に覚醒を繰り返すのです。この覚醒は本人が気づかないほど短時間ですが、一晩で数十回から数百回も起こることがあります。
睡眠の質が著しく低下する仕組み
通常の睡眠では、浅い眠りから深い眠り、そしてレム睡眠へと周期的に移行します。しかし睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、無呼吸のたびに覚醒が起こるため、深い睡眠やレム睡眠に到達できません。その結果、何時間寝ても熟睡感が得られず、日中に強い眠気を感じるのです。
この眠気は単なる寝不足とは異なり、慢性的な低酸素状態と睡眠分断による身体の悲鳴と言えます。
交通事故のリスクが著しく増加
睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、運転中に居眠りをする確率が健常者の約2〜7倍高いとされています。実際に、過去には運転中の事故や鉄道のオーバーランなどで、睡眠時無呼吸症候群の関与が判明した事例があります。
運転中の眠気は、本人だけでなく周囲の人々の命にも関わる重大な問題です。「少し眠いだけ」と軽視せず、早期に専門医を受診することが肝要です。
仕事や日常生活への影響
日中の眠気は、仕事中の居眠りや大事な会議での集中力低下など、業務に支障をきたします。また、家庭生活においても、家族との会話が減ったり、趣味や余暇活動を楽しめなくなったりと、生活の質が大きく損なわれます。
さらに、抑うつ状態や性格の変化、幻覚などの精神症状が現れることもあり、人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群が健康に及ぼす深刻な影響
睡眠時無呼吸症候群は、日中の眠気だけでなく、全身の健康に深刻な影響を及ぼします。
長期にわたって体が低酸素状態にさらされると、心臓や血管、代謝系に大きな負担がかかるのです。実際に、睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、心筋梗塞や脳卒中を発症する確率が健常者に比べて高いことが分かっています。
高血圧との関連
睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸のたびに交感神経が興奮し、血圧が上昇します。この状態が夜間を通して繰り返されることで、日中も血圧が下がりにくくなり、高血圧の原因となります。実際に、治療抵抗性高血圧(複数の降圧薬を使用しても血圧が下がらない状態)の患者さんの多くが、睡眠時無呼吸症候群を合併していると報告されています。
心臓病や脳卒中のリスク増加
睡眠時無呼吸症候群では、心筋梗塞や不整脈、心不全などの心疾患のリスクが高まります。また、脳卒中の発症リスクも約2〜4倍に増加すると言われています。これは、慢性的な低酸素状態や血圧の変動、炎症反応の亢進などが、動脈硬化を進行させるためです。
糖尿病や代謝異常
睡眠の質の低下は、インスリン抵抗性を引き起こし、2型糖尿病のリスクを高めます。また、食欲を調節するホルモンのバランスが崩れることで、肥満を助長し、さらに睡眠時無呼吸症候群を悪化させるという悪循環に陥ることもあります。
突然死のリスク
重症の睡眠時無呼吸症候群を治療せずに放置すると、夜間の突然死のリスクが高まるとされています。これは、無呼吸による低酸素状態が心臓に過度の負担をかけ、致死的な不整脈を引き起こす可能性があるためです。
こうした健康リスクを考えると、睡眠時無呼吸症候群は決して軽視できない疾患であることが分かります。早期発見・早期治療が、将来的な合併症を予防する鍵になります。
睡眠時無呼吸症候群の診断方法…正確な検査が重要
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、どのように診断するのでしょうか。
診断には、睡眠中の呼吸状態を客観的に評価する検査が必要です。通常は二段階で検査を行います。まず簡易検査で陽性であれば、より詳しい本検査(ポリソムノグラフィ)に進むのが一般的です。
簡易検査(自宅でできる検査)
簡易検査では、指先に酸素飽和度を測定する機器を装着し、腕に小型の機器をはめて一晩休んでいただきます。この検査により、睡眠中の酸素飽和度の低下や無呼吸の頻度をある程度把握できます。自宅で行えるため、患者さんの負担が少ないのが利点です。
ただし、簡易検査では睡眠の深さや脳波などの詳細な情報は得られません。そのため、簡易検査で異常が見つかった場合や、症状が強いにもかかわらず簡易検査で異常が検出されなかった場合は、本検査が推奨されます。
本検査(ポリソムノグラフィ)
ポリソムノグラフィは、医療機関で一晩入院して行う精密検査です。脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸状態、酸素飽和度など、多くの生体信号を同時に記録します。これにより、睡眠の深さや質、無呼吸の種類(閉塞型、中枢型、混合型)、重症度などを正確に評価できます。
検査結果に基づいて、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI:無呼吸低呼吸指数)が算出され、軽症(AHI 5〜15)、中等症(AHI 15〜30)、重症(AHI 30以上)に分類されます。
その他の検査
必要に応じて、上気道の形態を評価するための睡眠時上気道MRIやセファログラム(頭部X線規格写真)、日中の眠気を客観的に評価する睡眠潜時反復検査(MSLT)などが行われることもあります。これらの検査により、無呼吸の原因や最適な治療法を判断します。
睡眠時無呼吸症候群の治療法…CPAP療法を中心に
診断が確定したら、適切な治療を開始します。
睡眠時無呼吸症候群の治療法には、CPAP療法、マウスピース療法、外科手術、生活習慣の改善などがあります。重症度や原因、患者さんの状態に応じて、最適な治療法を選択することが重要です。
CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法は、睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療法です。就寝時に鼻や口にマスクを装着し、専用の装置から持続的に空気を送り込むことで、気道に陽圧をかけて閉塞を防ぎます。
CPAP療法を正しく使用すると、いびきがほぼ完全に止まり、無呼吸の発生もほぼゼロに抑えられます。その結果、日中の眠気が劇的に改善し、集中力や生活の質が向上します。また、継続使用することで高血圧などの心血管疾患のリスク因子も改善すると報告されています。
中等症から重症の患者さんには、CPAP療法が第一選択となります。保険適用もあり、月々の費用負担は3割負担で約5,000円程度です。ただし、マスクの装着に慣れるまで違和感があったり、機器の管理が必要だったりと、継続には一定の努力が求められます。
マウスピース療法(口腔内装置)
軽症から中等症の患者さんや、CPAPが合わない方には、マウスピース療法が選択されることがあります。就寝時に専用のマウスピースを装着することで、下顎を前方に固定し、気道を広げる効果があります。
装置が小さく手軽で、旅行先でも使用できるのが利点です。ただし、重症例では効果が不十分なことが多く、また歯科での型取りが必要で、歯が20本以上ないと作製できません。顎関節痛や歯の移動などの副作用が生じる可能性もあります。
外科手術
CPAPやマウスピースが困難な方や、明らかな気道狭窄の原因(扁桃肥大、鼻中隔弯曲症など)がある場合は、外科手術が検討されます。原因組織を除去することで根治が期待できますが、手術リスクや入院・回復期間が必要です。また、必ずしも完治せず、再発の可能性もあります。
生活習慣の改善
すべての患者さんに推奨されるのが、生活習慣の改善です。特に肥満がある方は、減量により無呼吸が大幅に改善することがあります。また、飲酒や喫煙を控える、仰向けではなく横向きで寝る、規則正しい睡眠習慣を心がけるなども有効です。
ただし、効果発現に時間がかかり、中等症以上では単独では不十分なことが多いため、CPAP療法などと併用することが現実的です。
よくある質問(Q&A)
Q1:いびきをかくだけで睡眠時無呼吸症候群なのでしょうか
A:いびきをかくすべての人が睡眠時無呼吸症候群というわけではありません。ただし、大きないびきや呼吸が止まる、日中の強い眠気などの症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いため、専門医の受診をおすすめします。
Q2:痩せていても睡眠時無呼吸症候群になりますか
A:はい、痩せている方でも睡眠時無呼吸症候群になることがあります。肥満は主要なリスク因子ですが、顔面や頸部の骨格、上気道の形態、扁桃肥大などが原因で発症することもあります。実際に、家系内で遺伝的に共通した顔面頸部骨格の形態異常が多発するケースも報告されています。
Q3:CPAP療法は一生続けなければならないのでしょうか
A:CPAP療法は根治療法ではなく、対症療法です。そのため、原則として継続的に使用する必要があります。ただし、減量や生活習慣の改善により症状が軽減すれば、医師の判断でCPAPを中止できる場合もあります。また、外科手術により根治を目指すことも可能です。
Q4:睡眠時無呼吸症候群は子供にも起こりますか
A:はい、子供にも睡眠時無呼吸症候群は起こります。特にアデノイドや扁桃腺の肥大が原因となることが多く、いびきや口呼吸、日中の眠気、集中力低下などの症状が見られます。成長や学習に影響を及ぼすこともあるため、早期の診断と治療が重要です。
Q5:睡眠時無呼吸症候群の治療は保険適用されますか
A:はい、睡眠時無呼吸症候群の診断と治療は保険適用されます。CPAP療法の場合、月々の費用は3割負担で約5,000円程度です。マウスピース療法や外科手術も保険適用の対象となります。ただし、検査や治療内容によって費用は異なりますので、詳細は医療機関にお問い合わせください。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、単なる「いびき」や「寝不足」ではなく、全身の健康に深刻な影響を及ぼす疾患です。
私は長年にわたり、数多くの睡眠時無呼吸症候群の患者さんを診療してきましたが、適切な治療により生活の質が劇的に改善されるケースを数多く経験してきました。日中の眠気や朝の頭痛、家族からのいびきの指摘など、気になる症状がある方は、ぜひ早めに専門医を受診してください。睡眠は人生の約3分の1を占める重要な時間です。質の高い睡眠を取り戻すことで、健康で充実した毎日を送ることができます。
当クリニックでは、いびき治療や睡眠時無呼吸症候群の診療に力を入れており、痛みや出血の少ないレーザー治療も提供しています。満足度94%、症例数28,000件以上の実績を持ち、日帰り手術で対応可能です。保険診療も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。
いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
一人ひとりに寄り添いながら、健やかな眠りと快適な毎日をサポートいたします。
レーザー治療は保険適用、自己負担は約3割
ほとんどの治療は健康保険が適用され、自己負担額はおよそ31,000円前後。保険証をお忘れなくご持参ください。
医師紹介
都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。
- 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
- 日本めまい平衡医学会 参与
- 日本臨床医療レーザー協会 会員
- 帝京大学医学部 元准教授
いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。