column コラム
いびき手術の費用と保険適用について徹底解説
2025.10.27
目次
1.いびき手術の費用相場 保険適用されるのか
2.いびき手術の種類と費用相場
3.いびき治療の保険適用条件
4.保険適用されるいびき治療法と適用外の治療法
5.いびき手術を検討する際のポイント
6.いびき治療に関するよくある質問と回答
7.まとめ:いびき手術の痛みと向き合うために
いびき手術の費用相場 保険適用されるのか
いびきに悩む方やそのパートナーにとって、「いびき手術」は気になる選択肢の一つではないでしょうか。特に費用面や保険適用の有無は、治療を検討する上で重要なポイントとなります。
私は耳鼻咽喉科医として30年以上にわたり、いびき治療に携わってきました。これまで29,000件以上のいびき治療を行ってきた経験から、患者さんが最も気にされる「費用」と「保険適用」について詳しくお伝えします。
この記事では、いびき手術の種類ごとの費用相場や保険適用の条件、そして治療選択のポイントまで、あなたが知りたい情報を網羅しています。
いびき手術の種類と費用相場
いびき治療には様々な手術方法があります。それぞれの特徴と費用相場を見ていきましょう。
いびきの原因は人によって異なります。鼻の問題、口蓋垂(のどちんこ)や軟口蓋の問題、扁桃肥大など、原因に合わせて最適な手術方法が選ばれます。
軟口蓋形成術(UPPP)
軟口蓋形成術は、口蓋垂と軟口蓋を切除し、咽頭を広げる手術です。全身麻酔を行い、約1週間の入院が必要となります。
この手術は睡眠時無呼吸症候群と診断された場合に保険適用となります。3割負担で手術費用は約3万円、これに入院費用が加わります。
ただし、手術から数年後にいびきの症状が再発することもあるため、ヨーロッパでは積極的な選択肢とはなっていないのが現状です。
鼻中隔矯正術
鼻腔の中央にある鼻中隔が湾曲していると、鼻呼吸の妨げになりいびきを引き起こす可能性があります。鼻中隔矯正術は、湾曲した鼻中隔の骨や軟骨を切除し、鼻腔のスペースを広げる手術です。
保険適用の場合、3割負担で片側約2万円の費用がかかります。病院によっては日帰り手術が可能な場合もあります。
アレルギー性鼻炎をお持ちの方は、まず薬による治療で鼻づまりの改善を試み、その結果を見て手術の必要性を判断することが多いです。
この手術は、CPAP療法やマウスピース治療の補助治療としても選択されることがあります。
レーザー治療
当院で行っているレーザー治療は、痛みや出血が少なく日帰りで受けられる治療法です。手術時間はわずか10分程度で、来院から帰宅までは約2時間です。
レーザー治療は保険適用の場合、初診料が4,000円〜12,000円程度、手術費用が31,000円前後、術後の通院が2回程度で各1,000円程度となります。
従来の切開手術と比べて、レーザー手術は切開部分の治癒が早いという利点があります。
いびき治療の保険適用条件
いびき治療において保険が適用されるかどうかは、多くの患者さんにとって大きな関心事です。ここでは、保険適用の条件について詳しく解説します。
まず重要なポイントは、単なる「いびき」だけでは保険適用にならないことが多いという点です。
睡眠時無呼吸症候群の診断が鍵
保険適用を受けるためには、「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)」という医学的な診断を受ける必要があります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に10秒以上の呼吸停止(無呼吸)や呼吸が浅くなる状態(低呼吸)が繰り返し起こる病気です。診断の基準となるのがAHI(Apnea-Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数)という指標です。
AHIは1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数を合計したもので、この数値により重症度が判定されます。
- AHIが5未満:正常範囲
- AHIが5〜14:軽症
- AHIが15〜29:中等症
- AHIが30以上:重症
一般的に、保険適用の基準としては、AHIが15以上の場合、またはAHIが5以上14以下でも高血圧、心疾患、脳血管疾患、日中の過度の眠気などの合併症がある場合に治療が推奨されます。
保険適用に必要な検査
保険適用を受けるためには、まず医師による診察を受け、睡眠時無呼吸症候群の可能性があると判断された場合に、睡眠検査を実施します。
検査には大きく分けて2種類あります。
- 簡易検査:自宅で実施できる検査で、指先につけるパルスオキシメーターや鼻に装着するセンサーで呼吸状態を測定します。
- 精密検査(PSG検査):医療機関に一泊入院して行う検査で、脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸運動、動脈血酸素飽和度など多くの生体情報を記録します。
これらの検査結果に基づいて、睡眠時無呼吸症候群と診断されれば、治療に保険が適用される可能性が高まります。

保険適用されるいびき治療法と適用外の治療法
いびきの治療法には様々なものがありますが、保険適用されるものと適用外のものがあります。それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。
CPAP療法の保険適用条件
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続陽圧呼吸療法)は、睡眠時無呼吸症候群の第一選択治療法として広く用いられています。
CPAP療法の保険適用条件は以下の通りです:
- PSG検査でAHIが20以上
- 簡易検査のみの場合はAHIが40以上
保険適用となる場合、3割負担で月額約5,000円(CPAP機器のレンタル+定期診察)の費用がかかります。
ただし、継続して保険適用を受けるためには、月1回の診察と、1日4時間以上、月70%以上の日数で使用することが条件となります。
マウスピース治療の保険適用
口腔内装置(マウスピース)は、下顎を前方に引き出して気道を確保する装置です。
保険適用の条件は以下の通りです:
- AHIが5以上40未満の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合
- CPAPが合わない、または使用できない場合
保険適用の場合、3割負担で約15,000円程度の費用がかかります。自費診療の場合は、6万円〜15万円程度かかることが一般的です。
保険適用外の治療法
レーザー治療や市販のいびきグッズなどは、一般的に保険適用外となります。
レーザー治療は自由診療の場合、クリニックによって料金が異なりますが、1回あたり3万円〜10万円程度が相場です。複数回の治療が必要なケースが多く、トータルコストを考慮する必要があります。
市販のいびきグッズは数千円〜数万円程度で購入できますが、効果には個人差があり、医学的に効果が証明されていないものも多いです。
あなたの症状や生活スタイル、予算に合わせて最適な治療法を選ぶことが大切です。
いびき手術を検討する際のポイント
いびき治療として手術を検討する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
手術が適している場合とそうでない場合
いびきの手術は、全ての人が受けられるわけではありません。以下のような場合に手術が検討されます:
- 上気道の通気性を良くしたい場合(扁桃肥大、口蓋垂が大きい、軟口蓋の震えなど)
- 鼻の病気を治療したい場合(鼻中隔湾曲症や鼻炎など)
- 他の治療法(CPAP、マウスピースなど)が合わない場合
一方で、以下のような場合は手術が適さないことがあります:
- 重度の肥満がある場合
- 全身状態が良くない場合
- 血液凝固異常がある場合
手術適用の判断は、いびきの重症度や症状改善の見込み、検査結果、年齢、体重、顔面の骨格などを総合的に考慮して医師が行います。
手術のメリットとデメリット
いびき手術のメリットとしては、以下のようなものがあります:
- 根本的な原因を治療できる可能性がある
- CPAP療法などのように毎日装置を使用する必要がない
- 保険適用となる場合は費用負担が比較的少ない
一方、デメリットとしては:
- 手術に伴う痛みや出血のリスクがある
- 効果が出るまでに時間がかかる場合がある
- 症状が再発する可能性がある
- 全ての人に効果があるわけではない
これらのメリット・デメリットを理解した上で、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。

いびき治療に関するよくある質問
いびき治療に関して患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。
Q1: いびき治療は保険が適用されますか?
A: 単なるいびきだけでは保険適用にならないことが多いです。睡眠時無呼吸症候群と診断された場合に、治療法によって保険適用となります。診断には睡眠検査が必要です。
Q2: レーザー治療の効果はどのくらい続きますか?
A: 個人差がありますが、多くの場合1〜3年程度効果が持続します。ただし、生活習慣(体重増加、飲酒など)によっては効果が短くなることもあります。定期的なメンテナンス治療を受けることで、効果を長く維持できる場合があります。
Q3: 手術後はすぐにいびきが改善しますか?
A: 手術方法によって異なります。レーザー治療の場合、治療後すぐに効果が出る方もいますが、一般的には腫れが引く2〜4週間後から効果が現れ始めます。また、複数回の治療が必要な場合もあります。
Q4: 手術以外の治療法はありますか?
A: はい、あります。CPAP療法、マウスピース、生活習慣の改善(減量、禁酒、横向き寝など)などが挙げられます。症状の程度や原因によって、最適な治療法は異なります。
Q5: いびき治療は何科を受診すればよいですか?
A: 耳鼻咽喉科が一般的です。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、睡眠専門外来や呼吸器内科を受診することもあります。まずは耳鼻咽喉科を受診し、必要に応じて適切な診療科を紹介してもらうとよいでしょう。
まとめ
いびき手術の費用と保険適用について詳しく解説してきました。重要なポイントをまとめると:
- いびき治療の保険適用には、睡眠時無呼吸症候群の診断が必要
- 手術の種類によって費用は異なり、保険適用の場合は比較的負担が少ない
- レーザー治療は痛みや出血が少なく、日帰りで受けられる利点がある
- 治療法の選択は、症状の程度や原因、生活スタイルなどを考慮して行うべき
いびきは単なる「うるさい音」ではなく、睡眠の質の低下や健康リスクにつながる可能性があります。適切な診断と治療を受けることで、あなたとパートナーの睡眠の質を向上させ、健康的な生活を取り戻すことができるでしょう。
詳しい情報や予約については、コレージュクリニックの公式サイトをご覧ください。
コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。
いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
一人ひとりに寄り添いながら、健やかな眠りと快適な毎日をサポートいたします。
レーザー治療は保険適用、自己負担は約3割
ほとんどの治療は健康保険が適用され、自己負担額はおよそ31,000円前後。保険証をお忘れなくご持参ください。
医師紹介
都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。
- 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
- 日本めまい平衡医学会 参与
- 日本臨床医療レーザー協会 会員
- 帝京大学医学部 元准教授
いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。