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いびきの原因はストレス…疲労が引き起こす気道狭窄のメカニズム解説

2025.11.22

目次

1.いびきに悩むあなたへ…その原因は疲労とストレスかもしれません
2.なぜ疲労やストレスでいびきが起こるのか
3.気道狭窄のメカニズム…空気の通り道で何が起きているのか
4.いびきを引き起こす様々な要因
5.いびきが示す健康リスク…睡眠時無呼吸症候群との関係
6.自分でできるいびき改善策
7.専門的ないびき治療…レーザー治療という選択肢
8.よくあるご質問(Q&A)
9.まとめ…快適な睡眠を取り戻すために

いびきに悩むあなたへ…その原因は疲労とストレスかもしれません

「最近、家族からいびきがうるさいと言われる」「朝起きても疲れが取れない」…そんなお悩みはありませんか。

実は、いびきは単なる騒音ではなく、あなたの身体が発する重要なサインです。特に疲労やストレスが蓄積している方は、普段はいびきをかかない人でも、突然大きないびきをかくようになることがあります。

この記事では、疲労やストレスがいびきを引き起こすメカニズム、気道狭窄が起こる具体的な仕組み、いびきが示す健康リスク、自分でできる改善策と専門的治療法

などについて解説していきます。

なぜ疲労やストレスでいびきが起こるのか

疲れているときほど、いびきをかきやすくなるというのは、多くの方が経験する現象ですが、その背景には明確な医学的理由があります。心身が疲労すると、体は睡眠中に筋肉を緩めて回復を促そうとします。この自然な回復プロセスが、実は気道の狭窄を引き起こす原因となるのです。

筋肉の弛緩が気道を狭くする仕組み

喉の周囲には、気道を支える複数の筋肉が存在します。通常、これらの筋肉は適度な緊張を保ち、空気の通り道を確保しています。しかし疲労が蓄積すると、睡眠中にこれらの筋肉が過度に緩んでしまうのです。

特に影響を受けやすいのが「舌根」と呼ばれる舌の付け根部分です。筋肉が緩むと、重力によって舌が喉の奥へと落ち込み、気道を塞いでしまいます。狭くなった気道を空気が無理に通過しようとする際、周囲の組織が振動して音が発生する…これがいびきの正体です。

ストレスが引き起こす自律神経の乱れ

ストレスは自律神経のバランスを崩します。

交感神経が優位な状態が続くと、睡眠の質が低下し、深い眠りに入りにくくなります。浅い眠りでは筋肉の緊張と弛緩のコントロールが不安定になり、結果として気道の狭窄が起こりやすくなるのです。さらに、ストレスによる睡眠不足が疲労を蓄積させ、悪循環を生み出します。

気道狭窄のメカニズム…空気の通り道で何が起きているのか

いびきの音が鳴る場所、それは「上気道」と呼ばれる鼻から喉頭までの空気の通り道です。

この上気道が狭くなることで、様々な問題が引き起こされます。気道狭窄のメカニズムを理解することは、適切な対処法を選ぶ上で肝要です。

上気道の構造と狭窄が起こる部位

上気道は、鼻腔・咽頭・喉頭という三つの主要部分から構成されています。いびきの原因となる狭窄は、主に咽頭部分で発生します。具体的には、軟口蓋(口蓋垂、いわゆる「のどちんこ」を含む部分)や舌根が、気道を狭める主な要因となります。

睡眠中、仰向けの姿勢では重力の影響で舌が後方に落ち込みやすくなります。加えて筋肉の弛緩が起これば、気道はさらに狭窄します。この状態で呼吸をすると、狭い空間を空気が高速で通過することになり、周囲の組織が激しく振動するのです。

振動が音を生み出すプロセス

狭くなった気道を空気が通過する際、流速が上がります。これは、ホースの先端を指で狭めると水の勢いが増すのと同じ原理です。高速で流れる空気が、軟口蓋や口蓋垂、咽頭壁などの柔らかい組織を振動させることで、あの特徴的な「ガーガー」「グーグー」という音が発生します。

音の大きさや種類は、気道の狭窄度合いによって変化します。軽度の狭窄では比較的静かな音ですが、重度になると大きく不規則な音になり、時には呼吸が一時的に止まる「無呼吸」の状態に至ることもあります。

いびきを引き起こす様々な要因

疲労やストレス以外にも、いびきの原因は多岐にわたります。

複数の要因が重なることで、いびきはさらに悪化する可能性があります。ここでは、主な原因を詳しく見ていきましょう。

肥満による気道への圧迫

体重増加は、いびきの最も一般的な原因の一つです。首周りや喉の内部に脂肪が蓄積すると、気道が内側から圧迫されます。さらに、舌にも脂肪がつくことで舌が重くなり、睡眠中に喉の奥へと落ち込みやすくなります。

標準体重を大きく超えている方は、減量することで気道が広がり、いびきの改善が期待できます。わずか数キロの減量でも、首周りの脂肪が減少し、効果を実感できることがあります。

飲酒がもたらす筋弛緩作用

アルコールには強力な筋弛緩作用があります。

就寝前の飲酒、いわゆる「寝酒」は、喉周囲の筋肉を通常以上に緩ませ、舌の落ち込みを助長します。普段はいびきをかかない方でも、飲酒後は大きないびきをかくことがあるのはこのためです。特に就寝前4時間以内の飲酒は、いびきを悪化させる要因となります。

鼻づまりと口呼吸の関係

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などで鼻が詰まると、無意識のうちに口呼吸になります。口呼吸では舌が気道に落ち込みやすく、いびきの原因となります。花粉症の季節にいびきが悪化する方が多いのは、この鼻づまりが関係しています。

慢性的な鼻づまりがある場合は、耳鼻咽喉科での適切な治療が重要です。鼻の通りを改善することで、自然な鼻呼吸が可能になり、いびきの軽減につながります。

加齢による筋力低下

年齢を重ねると、全身の筋肉量が減少します。喉周囲の筋肉も例外ではありません。50歳以上になると、気道を支える筋力が低下し、いびきをかく割合が増加します。60代では約6割の方がいびきをかくというデータもあります。

女性の場合、更年期を迎える35歳から50歳頃にいびきが始まるケースがあります。これは女性ホルモンの減少が関係していると考えられています。女性ホルモンには気道を広げる作用があるため、その減少により気道が狭くなりやすくなるのです。

いびきが示す健康リスク…睡眠時無呼吸症候群との関係

いびきは、より深刻な病気のサインかもしれません。

特に注意が必要なのが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。この病気は、睡眠中に何度も呼吸が止まる状態を繰り返し、様々な健康リスクを引き起こします。国内では約1,000万人以上の潜在的患者がいると推計されていますが、自覚症状がないため、多くの方が未治療のまま放置されています。

睡眠時無呼吸症候群の診断基準

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上、または7時間に30回以上起こる状態を指します。いびきと無呼吸を交互に繰り返すパターンが特徴的で、大きないびきの後に突然静かになり、その後また大きな呼吸とともにいびきが再開する…このような症状が見られる場合は要注意です。

放置すると招く深刻な合併症

睡眠中の酸欠状態が繰り返されると、心臓に大きな負担がかかります。

高血圧、不整脈、心筋梗塞、脳卒中といった心臓血管疾患のリスクが1.5倍から2.5倍に上昇します。さらに、糖尿病やうつ病、認知症のリスクも高まることが明らかになっています。日中の強い眠気により、交通事故や労働災害の危険性も増大します。

睡眠の質が低下することで、日中の集中力低下、仕事や学習の効率低下、慢性的な疲労感といった生活の質(QOL)の著しい低下も招きます。

自分でできるいびき改善策

いびきの改善には、まず生活習慣の見直しが鍵になります。

専門的な治療を受ける前に、日常生活で実践できる対策を試してみましょう。これらの方法は、軽度から中等度のいびきに対して効果が期待できます。

横向き寝で気道を確保する

仰向けで寝ると、重力によって舌が喉の奥に落ち込みやすくなります。横向きに寝ることで、この舌の落ち込みを防ぎ、気道を広く保つことができます。抱き枕を使用すると、自然に横向きの姿勢を維持しやすくなります。

枕の高さも重要です。高すぎると首が前屈みになり気道を圧迫しますが、低すぎると口が開きやすく口呼吸を誘発します。自分の体型に合った適切な高さの枕を選ぶことが妥当です。

減量による気道スペースの確保

肥満傾向にある方は、減量が最も効果的な対策となります。月に1〜2kgの無理のないペースで体重を減らすことで、首周りの脂肪が減少し、気道が広がります。有酸素運動と食事制限を組み合わせた健康的なダイエットを心がけましょう。

就寝前の飲酒を控える

寝酒の習慣がある方は、まず就寝前4時間以内の飲酒を控えることから始めましょう。アルコールによる筋弛緩作用を避けることで、いびきの軽減が期待できます。どうしても飲酒する場合は、就寝までに十分な時間を空けることが現実的です。

鼻呼吸を促す工夫

市販の鼻腔拡張テープや口テープを活用することで、鼻呼吸を促進できます。鼻づまりがある場合は、耳鼻咽喉科で適切な治療を受けることが優先度が高いでしょう。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の治療により、自然な鼻呼吸が可能になります。

専門的ないびき治療…レーザー治療という選択肢

生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合、専門的な治療を検討する時期かもしれません。

当院では、痛みや出血の少ないレーザー治療を提供しています。いびきの原因となる口蓋垂やその周囲の組織をレーザーで調整することで、気道を広げ、いびきを改善します。治療時間はわずか10分ほどで、日帰り手術が可能です。

レーザー治療のメカニズム

いびきは、口蓋垂(のどちんこ)とその周囲の組織が振動することで発生します。レーザー治療では、この振動しやすい部位の形状を調整し、気道の狭窄を改善します。保険診療で行われるため、経済的な負担も抑えられます。

当院では、いびき治療の満足度94%(調査人数1,206名、2020年10月〜2023年10月)、症例数28,000件以上(2009年1月〜2024年12月)という実績があります。術後は2週間ほど痛みがありますので、うどんやお粥など嚥下しやすい食事を推奨しています。

睡眠時無呼吸症候群の治療法

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、CPAP(持続的陽圧呼吸療法)が第一選択肢となることが多いですが、機械の装着感が苦手な方や、出張が多い方には負担となることがあります。当院のレーザー治療は、閉塞型の睡眠時無呼吸症候群に対しても効果が期待できます。

治療前には、睡眠検査(ポリソムノグラフィーまたは簡易検査)により、無呼吸の回数や酸素飽和度を測定し、適切な治療法を提案します。

よくあるご質問(Q&A)

Q1. いびきは必ず治療が必要ですか?

すべてのいびきが治療を必要とするわけではありません。しかし、毎晩大きないびきをかく、呼吸が止まる、日中の強い眠気があるといった症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるため、専門医への相談が肝要です。放置すると心臓血管疾患などのリスクが高まります。

Q2. 女性でもいびきをかきますか?

はい、女性もいびきをかきます。当院の患者様の42%は女性です。特に更年期を迎える35歳から50歳頃に、女性ホルモンの減少によりいびきが始まるケースがあります。女性ホルモンには気道を広げる作用があるため、その減少が影響していると考えられています。

Q3. レーザー治療の痛みはどの程度ですか?

治療中は局所麻酔を使用するため、痛みはほとんどありません。術後は2週間ほど喉の痛みがありますが、鎮痛剤で管理可能です。この期間は、うどんやお粥など嚥下しやすい食事を推奨しています。多くの患者様が日常生活を送りながら回復されています。

Q4. いびきは遺伝しますか?

顎の大きさや骨格など、いびきをかきやすい体質は遺伝する可能性があります。しかし、生活習慣の改善や適切な治療により、いびきは改善できます。家族にいびきをかく方が多い場合でも、諦める必要はありません。

Q5. 子どものいびきも治療が必要ですか?

子どものいびきは、扁桃腺やアデノイドの肥大が原因であることが多いです。無呼吸を伴う場合、発育や学習に影響を与える可能性があるため、早期の対応が重要です。お子様のいびきが気になる場合は、耳鼻咽喉科での診察をお勧めします。

まとめ…快適な睡眠を取り戻すために

いびきは、疲労やストレスによる筋肉の弛緩、肥満、飲酒、鼻づまり、加齢など、様々な要因によって引き起こされます。気道が狭くなり、そこを空気が通過する際に組織が振動することで、あの特徴的な音が発生するのです。

軽度のいびきであれば、横向き寝、減量、就寝前の飲酒を控えるなど、生活習慣の改善で対処できることがあります。しかし、毎晩大きないびきをかく、呼吸が止まる、日中の強い眠気があるといった症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があり、専門的な治療が必要です。

当院のレーザー治療は、わずか10分の日帰り手術で、いびきの改善が期待できます。保険診療にも対応しており、これまで28,000件以上の症例実績があります。いびきでお悩みの方は、一人で悩まず、ぜひ専門医にご相談ください。

快適な睡眠は、健康な生活の基盤です。適切な診断と治療により、質の高い睡眠を取り戻し、充実した毎日を送りましょう。

コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。 いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
一人ひとりに寄り添いながら、健やかな眠りと快適な毎日をサポートいたします。

レーザー治療は保険適用、自己負担は約3割

ほとんどの治療は健康保険が適用され、自己負担額はおよそ31,000円前後。保険証をお忘れなくご持参ください。

コレ―ジュクリニックとは

医師紹介

都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。

  • 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
  • 日本めまい平衡医学会 参与
  • 日本臨床医療レーザー協会 会員
  • 帝京大学医学部 元准教授

いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。

ドクター紹介