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鼻炎手術を安全に日帰りで受けるには?リスク管理と術後ケアの重要性
2026.02.14
鼻炎の症状に長年悩まされている方にとって、日帰り手術は魅力的な選択肢です。
しかし、安全に手術を受けるためには、事前の準備と術後のケアが鍵になります。
本記事では、アレルギー性鼻炎の日帰り手術を検討されている方に向けて、安全に手術を受けるための条件や術前検査の重要性、術後の過ごし方について専門医の視点から詳しく解説します。レーザー治療は出血が少なく日帰りが可能ですが、適切な術前評価と術後管理が安全性を左右するのです。
1.日帰り手術が可能な鼻炎治療とは
2.安全に日帰り手術を受けるための条件
3.術前準備で気をつけるべきポイント
4.術後の過ごし方とリスク管理
5.まとめ:安全な日帰り手術のために
日帰り手術が可能な鼻炎治療とは
アレルギー性鼻炎は体質的な病気であり、基本的には薬で完治するものではありません。自然に治る率は10%前後とされています。
そのため、薬物療法で十分な効果が得られない場合、手術療法が選択肢となります。
レーザー手術の特徴と有効性
下甲介粘膜焼灼術、いわゆるレーザー手術は、鼻の粘膜を浅く焼くことで抗原が侵入しにくく、腫れにくい粘膜に変える方法です。
焼かれた粘膜は3~4週間で生え替わります。
この手術の有効性は約80%に認められており、手術を受けた患者さんの8割が日常生活に支障がない程度まで改善します。効果の持続については、5割強の方が7年以上効果が持続するという長期成績が報告されています。
手術は局所表面麻酔で約15分程度で終了し、痛みや出血もほとんどないため、日帰りで安全に行えます。術後1ヶ月後では著効と中等度有効の合計が83%、7年経過後も57%の患者で症状が半減しているという結果が得られています。
安全に日帰り手術を受けるための条件
日帰り手術は便利ですが、すべての方に適しているわけではありません。
安全に手術を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
術前検査の重要性
手術の約1ヶ月前には、心電図、胸部X線、呼吸機能検査などの術前検査を行います。
結果は麻酔科医とともに評価し、必要に応じて追加検査や循環器専門医の受診をお願いすることがあります。喘息の既往歴をお持ちの患者さんには、呼吸機能検査を実施し、その結果に基づいて個別の対応を行います。場合によっては、手術当日まで吸入ステロイド薬の使用を継続していただくことがあります。
これらの検査は、手術中の予期せぬ合併症を防ぐために極めて重要です。
全身状態の評価
日帰り手術では、術後の回復が順調であることが前提となります。
高血圧や糖尿病などの基礎疾患がある場合、それらがコントロールされていることが必要です。また、服用中の薬剤によっては、手術前に中止または変更が必要な場合があります。特に抗凝固薬や抗血小板薬を服用している方は、出血リスクが高まるため、事前に主治医と相談して調整が必要です。
術後のサポート体制
日帰り手術では、術後の安静と観察が自宅で行われます。
そのため、ご家族やご友人のサポートが得られることが望ましいです。手術当日は、付き添いの方がいない場合、提携病院での一泊入院をお願いしている施設もあります。また、術後に異常を感じた場合、速やかに医療機関に連絡できる体制を整えておくことが重要です。
術前準備で気をつけるべきポイント
手術を安全に受けるためには、術前の準備が欠かせません。
日常生活の中で意識すべき点を確認しましょう。
禁煙の徹底
喫煙は粘膜の治癒を遅らせ、術後の合併症リスクを高めます。
手術の数週間前から禁煙を開始することが推奨されます。喫煙者の場合、粘膜の血流が悪化しており、術後の回復が遅れる傾向があります。また、受動喫煙も避けるべきです。
服薬調整と鼻洗浄
手術前には、服薬の調整が必要な場合があります。
特に抗凝固薬や抗血小板薬は、出血リスクを高めるため、主治医の指示に従って調整します。また、鼻洗浄(鼻うがい)を術前から開始することで、鼻腔内を清潔に保ち、術後の感染リスクを減らすことができます。鼻洗浄は生理食塩水を用いて、1日1~2回行うことが推奨されます。
手術前日・当日の注意事項
手術前日23時からの絶食、また水分摂取の制限が必要です。
水やお茶、清涼飲料水以外は不可となります。アルコールは手術前日から術後2週間まで禁止です。手術当日も引き続き絶食をお願いします。午前中に手術予定の方は朝6時以降、午後に手術予定の方は朝8時以降は水分摂取も控えてください。
術後の過ごし方とリスク管理
手術が終わっても、術後のケアが回復の鍵を握ります。
適切な過ごし方を理解し、合併症を予防しましょう。
術後1週間の注意点
手術を行った部分は軽いやけどのような状態になり、2~3日は鼻汁が多く出ます。
また、術後しばらくはかさぶたが付着します。特に最初の1週間はゼラチン状のかさぶたが付きますが、2週目からはかさぶたが薄くなり鼻の通りは良くなってきます。4週目頃にはほぼ粘膜が再生します。
鼻をかむ際は、両側の鼻孔を軽く押さえ、優しく行ってください。強く鼻をかむと出血や合併症のリスクを高めるため、避けてください。術後の痛みは軽度で、鎮痛剤を服用される方は2~3人に1人です。翌日以後も痛みが続くようなことはありません。出血も軽度で2~3日鼻水に血がにじむ程度であり、特に血を止める処置も必要ありません。
術後2週間の生活制限
激しい運動や重労働はお控えください。
アルコール摂取は禁止です。血管拡張作用により出血リスクが高まります。また、大人数での会話や食事会への参加もお控えいただくようお願いしております。手術当日の食事は、消化に良いものを少量だけ摂るようにしてください。
定期的なフォローアップ
手術後1週間から1ヶ月の期間は、回復過程を慎重に観察し、適切なケアを提供します。
状態に応じて、定期的に診察を行います。内視鏡を用いて手術部位の治癒状況を詳細に確認します。症状に応じて、内服薬や点鼻薬を処方し、継続使用をお願いすることがあります。ご自宅でのケアとして、鼻洗浄(鼻うがい)を継続的に行ってください。
手術から3ヶ月が経過した時点で、総合的な治療効果の評価を行います。CT検査で副鼻腔の状態を詳細に観察し、手術による構造的変化を確認します。鼻腔通気度検査で鼻呼吸の改善度を客観的に測定します。これらの検査結果を術前の状態と比較し、手術の効果を総合的に判断します。
まとめ:安全な日帰り手術のために
アレルギー性鼻炎の日帰り手術は、適切な術前評価と術後管理により、安全かつ効果的に行うことができます。
レーザー手術は約80%の有効性があり、5割強の方が7年以上効果が持続するという長期成績が報告されています。しかし、安全に手術を受けるためには、術前検査による全身状態の評価、禁煙や服薬調整などの術前準備、そして術後の適切なケアが不可欠です。
手術を検討される際は、薬物療法との比較や手術のメリット・デメリットを十分に理解し、専門性の高い医療機関で相談することが重要です。
当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案し、安全で効果的な手術を提供できるよう努めております。鼻炎でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの症状に最適な治療法を一緒に見つけましょう。
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36394879/
コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。
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一人ひとりに寄り添いながら、健やかな眠りと快適な毎日をサポートいたします。
レーザー治療は保険適用、自己負担は約3割
ほとんどの治療は健康保険が適用され、自己負担額はおよそ31,000円前後。保険証をお忘れなくご持参ください。
医師紹介
都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。
- 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
- 日本めまい平衡医学会 参与
- 日本臨床医療レーザー協会 会員
- 帝京大学医学部 元准教授
いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。