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自分のいびきで目が覚める原因と改善策|睡眠時無呼吸症候群の危険性

2025.12.26

目次

1.自分のいびきで目が覚める・・・それは体からの重要なサインです
2.なぜ自分のいびきで目が覚めるのか・・・医学的メカニズムを理解する
3.いびきをかく主な原因・・・日本人特有の要因も含めて
4.自分のいびきを確認する方法・・・セルフチェックから専門検査まで
8.いびき放置が引き起こす健康問題・・・心臓病や脳卒中のリスク
5.今すぐ始められるセルフケア・・・生活習慣の改善が基本です
6.病院で受けられる専門的治療法・・・CPAP療法からマウスピース、手術まで
9.よくある質問
7.まとめ・・・質の高い睡眠を取り戻すために

自分のいびきで目が覚める・・・それは体からの重要なサインです

夜中、突然自分のいびきの音で目が覚めた経験はありませんか。

あるいは、朝起きても疲れが取れず、日中に強い眠気を感じることが続いていませんか。実は、自分のいびきで起きるという現象は、単なる睡眠の浅さではなく、**睡眠時無呼吸症候群**という重大な病気のサインである可能性があります。

この記事では、耳鼻咽喉科専門医として29,000件以上のいびき治療実績を持つ私が、自分のいびきで目が覚める原因、健康への影響、そして具体的な改善策について詳しく解説します。あなたの不安が少しでも解消され、質の高い睡眠を取り戻すための一助となれば幸いです。

なぜ自分のいびきで目が覚めるのか・・・医学的メカニズムを理解する

自分のいびきで起きる理由は、主に二つあります。一つは音の大きさそのもの、もう一つは呼吸困難による覚醒反応です。

睡眠中、喉や舌の筋肉がリラックスすると、重力の影響で舌根部が後方に落ち込みやすくなります。この現象により上気道が狭くなり、呼吸時の空気の流れが速くなって、軟口蓋や口蓋垂などの組織が激しく振動します。振動が大きくなるほどいびきの音も大きくなり、その騒音や呼吸困難感によって自分自身が目を覚ましてしまうのです。

さらに重要なのは、気道が完全に閉塞する場合です。呼吸が止まると血中の酸素濃度が低下し、脳が危険を察知して覚醒反応を起こします。この覚醒により呼吸は再開しますが、深い睡眠が妨げられ、睡眠の質が著しく低下するのです。

眠りが浅いことと音量の大きさ

眠りが浅い状態では、わずかな刺激でも目が覚めやすくなります。

いびきの音量が大きい場合、その騒音自体が覚醒のトリガーになります。軽い鼻音から「ガーガー」という大きないびきまで、さまざまなタイプがありますが、アルコール摂取の有無、鼻づまりの程度、体位などで音量が変化することが知られています。

気道狭窄による酸素不足と覚醒反応

寝ているときに体内への酸素の取り込みが不十分になると、血中の二酸化炭素が増えます。夜間の低酸素血症は心臓と脳に負担がかかり、体が苦しさを感じて何とかして呼吸をしようとします。その結果、目が覚めてしまうのです。

重症の睡眠時無呼吸があると重篤な低酸素血症が生じるため、寝ているときに苦しく感じて「フガッ」と起きる人もいます。

いびきをかく主な原因・・・日本人特有の要因も含めて

大きないびきをかく背景には、さまざまな要因があります。人によっては、複数の原因が重なっている場合も少なくありません。

肥満と首周りの脂肪蓄積

肥満は睡眠時無呼吸症候群の最も重要なリスクファクターの一つです。首周りや舌、軟口蓋に脂肪が蓄積すると、気道が狭くなりやすくなります。特に首回りのサイズが男性で43cm以上、女性で41cm以上の場合、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まるとされています。

中年太りの男性がアルコールを飲んで寝ると大きないびきをかいている場合には、肥満および飲酒がいびきの音の発生に関わっていると考えられます。

日本人に多い顎顔面形態の特徴

日本人に多い要因として、顎顔面形態があります。小さな顎、下顎が後退している特徴がある顔立ちの人は、いびきをかきやすい傾向があります。顔の骨格は親子で似ることがあり、いびき自体は遺伝しませんが、いびきをかきやすい体質は親から子へと受け継ぐ可能性があります。

アルコール・喫煙・寝姿勢などの生活習慣

アルコールは中枢神経系を抑制し、喉の筋肉をさらにリラックスさせる作用があります。アルコール摂取後は無呼吸・低呼吸指数が有意に増加し、血中酸素飽和度が低下することが研究で示されています。

喫煙も気道の炎症を引き起こし、いびきを悪化させる要因になります。さらに、仰向けで寝ると舌が喉の後ろに落ちやすくなるため、横向きで寝ることが推奨されます。

加齢による筋肉の緩みと口蓋扁桃肥大

加齢とともに喉の筋肉の張りが失われ、気道を開いた状態に保つ力が弱くなります。これにより、睡眠中の気道閉塞が起こりやすくなり、いびきや無呼吸の頻度が増加する傾向があります。

また、成人になっても口蓋扁桃肥大が残存している場合もあり、いびきをかく理由になります。

自分のいびきを確認する方法・・・セルフチェックから専門検査まで

自分のいびきの音が聞こえるという人もいれば、いびきをかいているか分からないという人もいます。

家族やパートナーからのフィードバック

最も簡単な方法は、家族やパートナーからのフィードバックをもらうことです。同室で寝ている人々にとって大きないびきは騒音の問題となり、周りの人が不眠になる事例が少なくありません。

スマホの睡眠アプリによる録音

一人暮らしの場合は、スマホの睡眠アプリによって、録音する方法もあります。音の大きさやパターンについて、手がかりが得られます。これらを正確に知るには、ビデオ録画が一つの手段となり、家族にスマホで自分の寝ている様子を撮影してもらう人もいます。

病院での終夜睡眠ポリグラフ検査

睡眠の専門施設では、**終夜睡眠ポリグラフ検査**と呼ばれる評価方法が用いられます。この精密検査は、病院に一泊して行われるもので、睡眠中の脳波、心拍数、呼吸、血中の酸素レベル、いびきの音などが計測されます。

個室で各種センサーを装着されて眠りますが、別室で睡眠検査技師が一晩の睡眠と呼吸の状態を監視しています。脳波計の記録と同期してビデオ記録も行われるため、いびきの音だけではなく、睡眠中の身体のさまざまな生理変化も分かります。

この検査を受けることで、睡眠時無呼吸症候群の重症度と確定診断ができます。さらに、検査データがあることで、いびきに対処するための各種の治療法が保険適用になります。

いびき放置が引き起こす健康問題・・・心臓病や脳卒中のリスク

いびきは音響の問題だけではなく、自分の健康にとって深刻な病気が発症する徴候であることを理解しましょう。

夜間の低酸素血症と心血管系への負担

いびきは閉塞性睡眠時無呼吸の症状であり、睡眠中に気道が狭くなっていることを示唆しています。したがって、寝ているときに体内への酸素の取り込みが不十分になり、同時に血中の二酸化炭素が増えます。

夜間の低酸素血症は心臓と脳に負担がかかり、治療せずに放置すると心臓病、脳卒中の発症リスクが高くなります。無呼吸が起こるたびに、体は酸欠状態になり、それを解消しようと交感神経が興奮します。その結果、血圧が急激に上昇し、心臓と血管に過度な負担がかかり続けるのです。

日中の眠気・集中力低下・生活の質への影響

睡眠という視点でみると、いびき呼吸は息をするために努力が必要な状況なので、脳が覚醒しやすくなります。その結果、眠りの質が低下して、日中の過度の眠気、集中力の低下、仕事や日常活動におけるパフォーマンスの低下につながります。

ぐっすり眠れない状況が続くと、うつ症状が現れる人もいて、生活の質にも大きく影響します。

高血圧・心房細動・糖尿病などの合併症リスク

この「無呼吸による血圧の乱高下」が、血管の内壁を傷つけ、動脈硬化を進行させます。その結果、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を悪化させるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中、心房細動などの心血管イベントの発症リスクを大幅に高めることがわかっています。

今すぐ始められるセルフケア・・・生活習慣の改善が基本です

いびきの改善には、生活習慣の是正から始めることが基本です。

体重管理と食生活の見直し

まずは、体重の管理を優先しましょう。食生活の見直しと定期的な運動を取り入れることで減量を行い、肥満を解消することはいびきを減少させる効果があります。

アルコール・喫煙の制限

アルコールの摂取を控える、喫煙を止める、就寝前の重い食事を避けるなどの習慣も、いびきの軽減に役立ちます。

横向き寝姿勢の工夫

寝るときの姿勢を工夫することも効果があり、横向きで寝ることを勧めます。なぜなら、仰向けで寝ると舌が喉の後ろに落ちやすくなるからです。横向きに誘導するような抱き枕を活用する方法があります。

市販のいびき防止グッズの活用

市販のいびき防止グッズには、鼻呼吸を促す鼻腔拡張テープや、下顎を支えて舌がのどを塞ぐことを防ぐマウスピースがあります。ドラッグストアあるいはネット通販での購入によって、グッズを入手することができます。手軽に試すことができるというメリットがありますが、治療効果の検証が必要になります。

病院で受けられる専門的治療法・・・CPAP療法からマウスピース、手術まで

セルフケアを行っても、いびきの音が小さくならないときは、専門的な治療が効果的です。

マウスピース(口腔内装置)による治療

歯科で製作してもらうもので、**口腔内装置**と呼ばれています。オーダーメードであなたの顎に合ったマウスピースが作られます。睡眠時無呼吸症候群の診断名があると、保険適用になります。ただし、重症の睡眠時無呼吸では、効果が不十分になることがあります。

CPAP治療(持続陽圧呼吸療法)

**CPAP機器**と呼ばれる呼吸を補助してくれる装置を病院から借りて、寝ているときに使用する対処法です。CPAP装置は睡眠中に一定の圧力で空気を気道に送り込み、気道が閉塞するのを防ぎます。

CPAP治療は非常に効果的ですが、装置を毎晩使用する必要があり、最初は装着感に慣れるまで時間がかかることがあります。定期的な通院が必要です。2025年の最新研究では、CPAP療法が閉塞性睡眠時無呼吸の全死亡率を37%、心血管疾患による死亡率を55%と大幅に低下させることが示されています。

外科手術による根本治療

手術による治療も選択肢の一つであり、病的に肥大した口蓋扁桃あるいはアデノイドの除去や気道を広げるための手術などがあります。これらは通常、他の方法で効果が得られなかった場合に検討されます。

睡眠時無呼吸症候群の手術は根本的な解決をもたらす可能性があります。しかし、根治の見込みがあるか、手術適応があるかの見極めが大切です。

よくある質問と医師からのコメント

Q1. 自分のいびきに気付いたときに、医師に相談するべきタイミングはいつですか?

いびきが慢性的である、血圧が高くなってきた、または日中の眠気があって生活に支障が出ている場合は、睡眠専門医に相談することを勧めます。早期発見・早期治療が、将来的な合併症予防につながります。

Q2. 症状がひどいときは、何科にかかったら良いですか?

耳鼻咽喉科、呼吸器内科の医師が診察をしています。いびき外来あるいは睡眠外来などの専門的な医療を提供している医療施設もあります。

Q3. なぜ、自分のいびきが聞こえるのでしょうか?

眠りが浅いこと、そして、音量が大きいことが考えられます。深い睡眠に入れていない状態では、わずかな刺激でも目が覚めやすくなります。

Q4. 自分のいびきで起きる理由として、何が考えられますか?

気道が狭窄しているので、体が酸素不足になります。そうなると体が苦しく感じるので、何とかして呼吸をしようとします。その結果、目が覚めてしまいます。重症の睡眠時無呼吸があると重篤な低酸素血症が生じるので、寝ているときに苦しく感じてフガッっと起きる人もいます。

Q5. いびきは遺伝するのでしょうか?

いびき自体は遺伝しませんが、いびきをかきやすい体質(顎顔面形態や肥満傾向など)は親から子へと受け継ぐ可能性があります。顔の骨格は親子で似ることがあるため、家族でいびきの傾向が見られることは珍しくありません。

まとめ・・・質の高い睡眠を取り戻すために

自分のいびきで目が覚めるという現象は、睡眠時無呼吸症候群の重要なサインです。

この記事では、いびきの原因から健康への影響、セルフケアの方法、専門的な治療法まで詳しく解説しました。肥満、アルコール摂取、喫煙、寝姿勢などの生活習慣が大きく関わっており、日本人特有の顎顔面形態も要因の一つです。

放置すると高血圧、心臓病、脳卒中などの発症リスクが高くなるため、早期発見と適切な治療が肝要です。まずは体重管理や横向き寝姿勢などのセルフケアから始め、症状が改善しない場合は専門医に相談しましょう。

終夜睡眠ポリグラフ検査による正確な診断と、CPAP療法やマウスピース、手術などの治療法が保険適用で受けられます。質の高い睡眠を取り戻し、健康的な生活を送るために、今日から行動を始めてみませんか。

 

コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。 いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
一人ひとりに寄り添いながら、健やかな眠りと快適な毎日をサポートいたします。

レーザー治療は保険適用、自己負担は約3割

ほとんどの治療は健康保険が適用され、自己負担額はおよそ31,000円前後。保険証をお忘れなくご持参ください。

コレ―ジュクリニックとは

医師紹介

都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。

  • 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
  • 日本めまい平衡医学会 参与
  • 日本臨床医療レーザー協会 会員
  • 帝京大学医学部 元准教授

いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。

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