column コラム
女性のいびきの原因〜専門医が解説する7つの要因と改善法
2025.12.27
目次
1.女性のいびきが増えている背景
2.女性特有のいびきの原因①:ホルモンバランスの変化
3.女性特有のいびきの原因②:加齢による筋力低下
4.女性特有のいびきの原因③:肥満と体重増加
5.女性特有のいびきの原因④:骨格的な特徴
6.女性特有のいびきの原因⑤:鼻づまり
7.女性特有のいびきの原因⑥:疲労やストレス
8.女性特有のいびきの原因⑦:生活習慣の影響
9.いびきを改善する具体的な方法
10.専門的な治療が必要な場合
11.よくある質問(Q&A)
12.まとめ
女性のいびきが増えている背景
「自分がいびきをかいているなんて・・・」と驚かれる女性が増えています。
実は、いびきに悩む女性の割合は約40%にのぼるという調査結果もあり、決して珍しいことではありません。私のクリニックでも、いびきに関するご相談をいただく機会が年々増加しています。特に更年期を迎えた方からのご相談が多く、ホルモンバランスの変化が大きく影響していることを実感しています。
女性のいびきは男性とは異なる特徴があり、その原因も多岐にわたります。この記事では、女性特有のいびきの原因7つと、効果的な改善方法について詳しく解説いたします。
女性特有のいびきの原因①:ホルモンバランスの変化
女性ホルモンの一つであるプロゲステロンには、気道を広げる働きを持つ筋肉の活動を活発にする作用があります。
若い頃にいびきをかきにくいのは、このホルモンが気道の確保を助けているためです。しかし、閉経を迎える更年期になると、プロゲステロンの分泌が急激に減少します。このホルモンの影響が少なくなることで上気道を開く筋力が弱まり、気道が狭くなりやすくなるのです。
更年期以降の女性では、睡眠時無呼吸症候群の発症リスクが大幅に増加することが知られています。エストロゲンレベルが2倍になると、睡眠中の不規則な呼吸のリスクが17〜23%減少するという研究報告もあり、女性ホルモンが気道の健康に果たす役割の重要性が明らかになっています。
妊娠中のホルモン変化といびき
妊娠中は体重の増加に加え、ホルモンバランスの変化や血液量の増加により鼻の粘膜がむくみやすくなります。この鼻づまりが原因で口呼吸になり、いびきをかくことがあります。多くは出産後に改善しますが、妊娠中の体重増加によって睡眠時無呼吸症候群を発症してしまった場合は、治療が必要になることもあります。
女性特有のいびきの原因②:加齢による筋力低下
年齢を重ねると、全身の筋肉が自然と衰えていきます。
これは、のどや舌を支える筋肉も例外ではありません。舌を前方に保持する力が弱まると、睡眠中に舌の付け根がのどの奥に落ち込む「舌根沈下」が起こりやすくなり、気道を塞いでしまいます。咽頭拡張筋である舌骨筋の活動は、閉経後の女性で最も低くなることが生理学的研究で示されており、これが咽頭気道の虚脱しやすさにつながる可能性があります。
加齢に伴う筋力低下は避けられない現象ですが、口周りや舌の筋肉を鍛えることで、ある程度の予防が可能です。「あいうべ体操」などを毎日の習慣に取り入れ、舌を正しい位置に保つ筋力を維持することが肝要です。
女性特有のいびきの原因③:肥満と体重増加
肥満体型になると、首や舌にも脂肪がつきます。
首回りについた脂肪は、外から気道を圧迫します。さらに、舌に脂肪がついて分厚くなると、その重さで舌が気道に落ち込みやすくなります。この両方の原因で気道が狭くなり、いびきが出やすくなるのです。特に更年期は基礎代謝が低下し、同じ食生活でも太りやすくなる時期です。体幹部の脂肪量の増加といびきの頻度には正の相関があり、習慣的ないびきをかく女性は、体幹部の脂肪量が2.4倍高いリスクを持つことが報告されています。
適正体重の維持が鍵になります
標準体重は、身長(m)×身長(m)×22で計算できます。例えば、身長158cmの人なら、1.58×1.58×22=54.92となるので、55kg前後が標準体重となります。肥満体型の方は、減量するといびきが減ることがあります。食事や運動を見直して、減量に取り組んでみることが優先度が高いと言えます。
女性特有のいびきの原因④:骨格的な特徴
女性は男性に比べて顎が小さい傾向にあります。
下あごが小さい人は、舌を支えるのど周辺の空間が狭いため、舌が収まりきらずに気道に落ち込みやすくなります。そのため、睡眠中に気道がふさがれて狭くなり、いびきが出ることがあります。女性は男性に比べると骨格が華奢で、あごの骨格も小さい人が多いため、あごの小ささが原因でいびきが発生する人も多いでしょう。
痩せ型でも注意が必要です。顎が小さい、下顎が後退しているといった骨格的な特徴を持つ方は、仰向けで寝た時に舌がのどの奥に落ち込みやすく、太っていなくてもいびきをかきやすい原因となります。
女性特有のいびきの原因⑤:鼻づまり
風邪や花粉症、副鼻腔炎などで鼻がつまってしまうと、鼻で呼吸ができなくなるので、無意識のうちに口を開けて呼吸をするようになります。
口を開けると、自然と舌が気道に落ち込むため気道が狭くなり、いびきが発生しやすくなります。風邪による鼻づまりなら、風邪が治れば鼻づまりも解消されるので、いびきは出なくなります。しかし、副鼻腔炎のような慢性的な病気による鼻づまりでいびきが生じているのなら、根本となる病気の治療が必要となります。アレルギー性鼻炎や鼻中隔湾曲症なども、いびきの原因となることがあります。
女性特有のいびきの原因⑥:疲労やストレス
疲労やストレスを感じると、体は回復に向けて筋肉を緩ませ、心身の緊張をほぐします。
その際、のど周辺や舌の筋肉も緩むことで、舌が気道に落ち込んでしまいます。すると、気道が舌にふさがれて狭くなるため、いびきが出やすくなります。精神的なストレスは、体のオン・オフを切り替える自律神経のバランスを乱します。ストレス状態が続くと体を緊張させる交感神経が優位になり、筋肉の緊張や血行不良を引き起こします。この状態での睡眠は鼻の粘膜の腫れや血行不良を招き、鼻づまりを起こしやすくします。鼻呼吸がしにくくなると、自然と口呼吸になり、いびきの原因となります。
睡眠不足が引き起こす悪循環
忙しさから睡眠時間が不足すると、体はより深い眠りを得ようとします。深いノンレム睡眠中は筋肉の弛緩が最大になるため、いびきをかきやすくなります。さらに、いびき自体が睡眠の質を低下させるため、「睡眠不足→いびき悪化→さらに睡眠の質が低下」という負のスパイラルに陥ってしまうことがあります。
女性特有のいびきの原因⑦:生活習慣の影響
アルコールには、筋肉を緩ませる作用があります。
そのため、お酒を飲んだとき、体からアルコールが抜ける前に眠ってしまうと、舌の筋肉が緩んで気道に落ち込み、いびきが出やすくなります。寝る前の飲酒を控えることが妥当です。どうしても飲みたい場合は、寝る4時間前までに飲酒を終えるのがいいでしょう。
たばこの煙は、ニコチン・タール・一酸化炭素をはじめとする約200種類の有害物質を含みます。それらが気道の炎症を引き起こし、腫れが生じることで気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。喫煙はさまざまな病気の要因にもなるため、禁煙が推奨されます。
いびきを改善する具体的な方法
いびきは病気が原因で生じることもありますが、病気が原因ではないなら、生活習慣の見直しで改善することもあります。
寝方・枕を変えてみる
仰向けで寝ると重力で舌がのどに落ち込み気道が狭くなるため、いびきが出やすくなります。そのため、横向きで寝ると舌の落ち込みがしにくく空気が通りやすくなり、いびきの改善につながります。抱き枕を使うと横向きの姿勢が安定しやすいのでおすすめです。また、枕が高すぎると首が曲がることで気道が狭くなりいびきが生じやすいため、自分にあった枕を使いましょう。
口呼吸を予防する
口呼吸を予防するには、テープやマスクで口を閉じる方法があります。いびき防止用のテープを貼ると肌がかぶれる人は、就寝時にマスクを着用して口を閉じるとよいでしょう。また、口周りの筋肉を鍛えると口が開きにくくなりますし、舌に筋力がつけば、舌があるべき位置に戻るため、口呼吸が改善されます。
体を温め、血行を促進する
女性は冷え性の方も多く、体が冷えると鼻づまりが悪化したり眠りが浅くなったりします。就寝前にぬるめのお風呂にゆっくり浸かるなどして体を温め、リラックスすることで質の良い睡眠につながります。
専門的な治療が必要な場合
さまざまな対策を講じても効果がなかった場合、睡眠時無呼吸症候群がいびきの原因かもしれません。
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まったり、呼吸が浅くなることを、何度も繰り返す病気です。この病気の症状として、激しいいびきがあります。医学的には、10秒以上呼吸が停止している状態が1時間に5回以上、または一晩(7時間)に30回以上起こる場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
女性の睡眠時無呼吸症候群は男性のような大きないびきや典型的な無呼吸が目立たないことがあります。そのため日中の眠気や疲労感といった症状があっても更年期障害や単なる疲れと自己判断してしまい、診断が遅れるケースが少なくありません。
レーザー治療という選択肢
私のクリニックでは、いびきに対するレーザー治療を行っています。これまでに28,000件以上の実績があり、多くの患者様から良好な結果をいただいています。レーザー治療は、軟口蓋や口蓋垂の組織を引き締めることで気道を広げ、いびきを軽減する方法です。ただし、すべての方に適応となるわけではありませんので、まずは診察を受けていただき、適切な治療法を一緒に検討していくことが重要です。
よくある質問(Q&A)
Q1: 更年期以降、急にいびきをかくようになりました。これは普通のことですか?
はい、更年期以降にいびきが増えることは珍しくありません。女性ホルモンの減少により、気道を広げる筋肉の活動が低下するためです。ただし、激しいいびきや日中の眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性もありますので、専門医の診察を受けることをお勧めいたします。
Q2: 痩せているのにいびきをかきます。原因は何でしょうか?
痩せている方でも、顎が小さい、下顎が後退しているといった骨格的な特徴があると、いびきをかきやすくなります。また、鼻づまりや疲労、ストレスなども原因となります。骨格的な要因が大きい場合は、横向き寝や枕の調整などで改善することがあります。
Q3: いびきのレーザー治療は痛いですか?
レーザー治療は局所麻酔を使用しますので、治療中の痛みはほとんどありません。治療後に軽い違和感や痛みを感じることがありますが、多くの場合、数日で改善します。28,000件以上の実績から、安全性の高い治療法と言えます。
Q4: いびきは放置すると危険ですか?
いびきそのものは必ずしも危険ではありませんが、睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合は注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群が悪化すると、心血管疾患や生活習慣病を合併することがあります。激しいいびきが毎晩続く場合は、検査を受けることが現実的です。
Q5: 妊娠中のいびきは赤ちゃんに影響しますか?
妊娠中の軽いいびきは一般的に問題ありませんが、睡眠時無呼吸症候群を発症してしまった場合は、妊娠高血圧や妊娠糖尿病につながる恐れもあります。悪化すると母体だけではなく、赤ちゃんにも危険が及ぶ恐れがあるため、早めの対処が必要です。
まとめ
女性のいびきには、ホルモンバランスの変化、加齢による筋力低下、肥満、骨格的特徴、鼻づまり、疲労・ストレス、生活習慣という7つの主な原因があります。
特に更年期以降は女性ホルモンの減少により、いびきのリスクが高まります。生活習慣の見直しや寝方の工夫で改善することもありますが、激しいいびきが続く場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります。適切な診断と治療により、多くの場合改善が期待できますので、お悩みの方は当院にご相談ください。
コレージュクリニックとは

当院は、いびきをはじめ、睡眠時無呼吸症候群や花粉症・アレルギー性鼻炎などの診療を専門とする耳鼻咽喉科クリニックです。
いびきは単なる音の問題にとどまらず、時に健康へ深刻な影響を及ぼすこともあります。当院では、原因や症状を丁寧に見極めたうえで、適切な診断と治療をご提案し、質の高い睡眠の回復をめざします。
一人ひとりに寄り添いながら、健やかな眠りと快適な毎日をサポートいたします。
レーザー治療は保険適用、自己負担は約3割
ほとんどの治療は健康保険が適用され、自己負担額はおよそ31,000円前後。保険証をお忘れなくご持参ください。
医師紹介
都筑 俊寛(つづく としひろ)

耳鼻咽喉科専門医。レーザー治療の臨床と研究に長年携わり、28,000件以上の治療実績をもつ。
- 日本耳鼻咽喉科学会認定 専門医
- 日本めまい平衡医学会 参与
- 日本臨床医療レーザー協会 会員
- 帝京大学医学部 元准教授
いびきは単なる音の問題ではありません。 睡眠の質を下げ、生活の質を大きく損なうこともあります。 専門医として、安心できる診断と治療を通じて、より良い毎日を取り戻すお手伝いができればと願っています。